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旭道山「場所中に衆院選出馬」で口走った「相撲協会の恩赦」失笑騒動/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」

 大相撲で盛大な人気を得た旭道山は1964年10月、東京都世田谷区生まれ。3歳で母方の実家がある鹿児島県大島郡に移り住んだものの、離島の生活に馴染めなかった父が家を出て別居。母親の手助けをしながら、長男として弟などの世話をする毎日を送った。

 小さい頃から運動神経抜群で、小学4年生時に剣道の奄美大島群大会で優勝すると、鹿児島県大会に出場。中学で入部したバレーボール部でも鹿児島県大会に出場し、陸上でも向かうところ敵なしだったとされる。

 母親の勧めで大島部屋に補充要員として入門。1980年の五月場所に初土俵を踏み、七月場所では序ノ口優勝を果たす。しかし小兵ゆえケガに悩まされ、肩の脱臼は30回を優に超えた。十両昇進には8年(史上10番目)かかったものの、「南海のハブ」の異名を取り、敢闘賞2回、殊勲賞にも2回輝いた。

 そんな旭道山をめぐって「衆議院議員選出馬決定」との見出しがスポーツ新聞各紙に踊ったのは、1996年の九月場所14日目のことだった。場所中での現役力士による衆院選出馬報道である。各界に激震が走ったことは言うまでもない。この時、31歳だった。スポーツ紙記者が当時を振り返る。

「すでに旭道山は相撲協会に廃業届を提出しており、大島親方も進退伺いを書面で理事長に提出していました。境川理事長は『協会としては応援できないが、私個人としては応援するから、この廃業届はあとで考える。とにかく頑張れよ』とエールを送り、廃業は理事長の保留扱いとなりました」

 ちなみにこの時点で年寄株を取得していない旭道山には、親方の道はなかった。

 こうした協会の対応に対する感謝の気持ちと出馬への意欲で高揚したのだろうか。新進党からの出馬会見でなんと、こう言い放ったのである。

「相撲協会から寛大な『恩赦』をいただき、ありがたいです。協会の『恩赦』でやるんなら頑張れと。私は旭道山ではありません。新進党です!」

 言わんとしていることはわかる。が、さすがに「恩赦」はないだろう。比例区からの出馬ということもあり、個人名ではなく政党名を…と言いたかったのだろうが、なんとも素っとん狂なこの訴えに、集まった報道陣からは失笑が漏れた。

 選挙では比例近畿ブロック10位で、新進党当選者156人中153人目として当選。しかしほどなくして、新進党は解散。「私=新進党」であるなら「新進党消滅=辞職」もあるかと思えたが、新党平和を経て無所属に。

 そして2000年6月の衆議院解散に伴い「(公明党から)2期目のお話を頂いたがお断りした」として、次期選挙への不出馬を宣言。3年8カ月に及ぶ政治家人生に幕を下ろすことになったのである。

(山川敦司)

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