地方の私鉄がJRの車両を譲り受けることはよくあるが、偶然にも2つの鉄道会社が同時期にJR車両の導入を発表した。三重県の三岐鉄道と、茨城県のひたちなか海浜鉄道である。
三岐鉄道はJR東海から「国鉄211系電車」30両を譲り受け、三岐線で運用する。ひたちなか海浜鉄道はJR東日本の「キハ100系気動車」3両を導入。整備が終わり次第、運行を開始する。
どちらも鉄道ファンにとってはビッグニュースだが、盛り上がりには差が出ている。三岐鉄道が撮り鉄から注目されている一方で、ひたちなか海浜鉄道は今ひとつ。鉄道ライターが、その理由を解説する。
「導入される車両の差ですね。211系は国鉄が設計と製造を行い、分割民営化された後はJR東日本とJR東海、JR西日本で運用されました。近郊型電車の主力として長く活躍しています。まだ日本各地で走っていますが、三岐鉄道で走り始めると、多くの撮り鉄が沿線に詰めかけることになるでしょう」
これに対して、キハ100系はそこまで人気ではないのだと、鉄道ライターは話す。
「キハ100系はJR東日本が設計と製造を行った車両で、全長16.5メートルと短い車体の『100系』と、20メートルの長い『110系』(写真)を合わせて『キハ100系・110系』と呼んでいます。高出力のディーゼルエンジンを搭載し、電車並の加速ができるとてもいい車両なんですが、撮り鉄の人気はそれほど高くありません。ですので、ひたちなか海浜鉄道に導入されることになっても、あまり盛り上がっていないわけです」
しかし今後、ひたちなか海浜鉄道の100系が注目を浴びる可能性はあるそうで、
「3両のうちの1両『キハ100-40』は、観光列車とて運用されることが決まっています。ひたちなか海浜鉄道によると、観光列車のデザインは検討の上で発表するとか。そのデザイン次第では、盛り上がる可能性がありますね」(前出・鉄道ライター)
ぜひとも多くの鉄道ファンをワクワクさせるデザインにしてほしい。
(海野久泰)