野球の華といえばやはり「本塁打」だ。古くは1959年6月、プロ野球初の「天覧試合」で、長嶋茂雄の劇的なサヨナラ本塁打で巨人が阪神を破ったゲームは、今でも伝説として語り継がれている。
もっとも、今季は本塁打が激減しており、ファンとしては少々物足りなさを感じるところ。球場によって本塁打の出やすさには大きな差があり、バンテリンドームを本拠地とする中日がなかなか一発攻勢を仕掛けられないのは、歯がゆいところではないか。
では実際、どの球場で本塁打が出やすいのだろうか。その影響度を数値化する指標が「パークファクター(PF)」だ。
これは対象球場の1試合あたりの本塁打数と、それ以外の球場の1試合あたりの本塁打数の比を求めることで算出される。数値が1以上なら、他の球場よりも本塁打の出やすい球場で、1より小さい場合は他の球場よりも本塁打が出にくい球場ということになる。
本塁打が出やすい球場として知られているのは、ヤクルトが本拠地とする神宮球場だ。今季はここまで2.06で、セ・リーグ1位。ところが神宮よりもさらに本塁打が出やすい球場があった。
12球団で最もPF値が大きいのは、日本ハムの本拠地エスコンフィールドで、2.15だ。ここまでの本塁打数は、最も低い0.52の甲子園の約4倍。左右非対称のフィールド形状で、両翼から中堅にかけての膨らみが少ないため、本塁打が出やすくなっている。ただしFP値はシーズンによって異なるため、まだ2年目のエスコンフィールドの数値は今後、変わっていくことが予想される。
エスコンフィールドは他にも、いかに得点が入りやすいかを示す「得点PF」で12球団中トップになっている。
万波中正やマルティネスの豪快な本塁打が見られるのは、エスコンフィールドならでは。ファンにとっては最もエキサイティングな球場といっていいだろう。
(ケン高田)