千葉県の小湊鐵道が7月22日から一部列車の減便を行った。平日の上りと下り、それぞれ1本の運行を取りやめ、2本の運行区間を短縮する。期間は9月30日までとしているが、状況によって延長する可能性があるという。
小湊鐵道は6月29日から観光急行の減便を実施しているため、これが2度目の減便となる。より深刻なのは今回の普通列車の減便だと、鉄道ライターは指摘する。
「観光急行を利用するのは観光客なので、減便してもそれほど影響はありませんが、地元住民の足になっている普通列車が減るのは問題です。終着駅の上総中野駅に向かう列車は、五井駅を18時52分に発車して20時13分に着くのが最終でしたが、今は五井駅14時40分発で16時11分に上総中野駅着と、大幅に前倒し。上り列車も上総中野駅の最終は、20時36分発から16時23分発と、4時間も早くなりました。上総中野駅と上総牛久駅の間は利用者が少ないとはいえ、困る人は出てくるでしょう」
小湊鐵道の発表によると、減便の理由は「人員不足」。これは小湊鐵道だけの問題ではなく、日本中の地方ローカル線を悩ませている。福井県の福井鉄道は昨年10月のダイヤ改正で運行本数を2割減らし、昼間の急行列車の運行も取りやめた。
バス・トラック業界は、ドライバーの労働時間短縮による「2024年問題」で人員不足に悩んでいるが、それとは無関係の鉄道会社で人手が足りなくなっているのはなぜなのか。前出の鉄道ライターは、深刻な現場の状況を明かす。
「地方の鉄道会社は過疎や子供の減少によって利用客が減り、経営が苦しい状態が続いています。そのため賃金が上がらず、鉄道会社で働こうという人が少ないんです。この状態は当分解消されないので、今後も減便するローカル線は出てくるでしょう」
コロナ禍が明けて、日本の観光地は外国人で賑わっている。鉄道会社も外国人を呼び込みたいが、人員不足でそれもままならない状況なのだ。鉄道を守るために、国は支援策を打ち出すべきではないか。
(海野久泰)