今やDeNAのエース格となった東克樹がインスタグラムで公開した「集合写真」を見て、オヤッと思った野球ファンは多いのではないか。
そこに写っているのは広島・床田寛樹、阪神・才木浩人、巨人・山﨑伊織といった面々だ。4人は笑顔でそれぞれの利き腕を指さしている。いったい何のアピールなのか。
彼らの共通点は「トミー・ジョン手術」。術後の肘が順調に回復していると言いたいようである。
一流の投手にとって「宿痾(しゅくあ)」と言えるのが、肘内側靭帯の損傷だ。ドジャースの大谷翔平が今季、打者に専念しているのは、損傷した右肘内側側副靭帯の修復を待っているからだ。
かつてはダマしダマし投球を続けながら、最終的に引退に追い込まれる選手は少なくなかったが、現在はトミー・ジョン手術により、リハビリをしっかりと行えば、再びマウンドに上がることが可能になった。メジャーでは1970年代にわずか2件しかなかった手術数が、2010年代には1300件を超えるほど普及している。まさに肘の靭帯損傷の「特効薬」といっていいだろう。
日本でもトミー・ジョン手術が普及し、順調に回復する選手が増えたことで、ネガティブなイメージはすっかり払拭された。4人の「チーム・トミー・ジョン」結成写真のメンバーは、いずれも球界を代表する投手ばかり。リハビリを乗り越えて活躍する姿を、ファンは感慨深く見ていることだろう。
投手にとって投球による肘への負担は永遠の課題だが、これ以上「チーム・トミー・ジョン」のメンバーが増えないことが理想と言えるだろう。
(ケン高田)