「27年連続本塁打&捕手として2963試合に出場」という2つのギネス世界記録保持者の名捕手・谷繁元信氏が著書「勝敗はバッテリーが8割」(幻冬舎)で指摘しているように、まずは、試合の行方を大きく左右する「バッテリー部門」から見ていこう。
元西武監督の伊原春樹氏がパで挙げたのは楽天・田中将大(35)と西武・髙橋光成(27)の2人。
日米通算200勝まで残り3勝の田中は、一軍どころかファームでの登板もないありさま。年俸2億6000万円はドブに捨てたも同然で、髙橋も年俸2億6500万円ながら、前半戦は0勝8敗と西武のダントツ最下位の要因となっている。
「マー君は昨年10月に右ひじのクリーニング手術を受けて、いまだ回復途上のようですが、ファンは心待ちにしている。早く出てこい! とケツを叩きたいぐらいですね。一方の髙橋は体作りに失敗した。目指しているメジャーは体が大きな選手が多く、筋トレと食事面で体を大きくしたのはスピードを上げるためだと思うけど、メジャーと日本人ではDNAや骨格も違う。体重が増えすぎ。相撲界じゃないんだから(苦笑)。体にしなやかさがなくなって、ボールのキレも落ちています」
元巨人の名ストッパー・角盈男氏は、
「西武は打てないしベンチのムードも悪く、勝負をあきらめるのも早い。負け慣れしており、戦う集団ではない」
と西武のチーム事情も勝ち星につながらない要因とみている。その角氏がセの投手陣で挙げたのが中日の大野雄大(35)だ。
昨年は左ひじの軟骨除去手術のため1年間をリハビリに費やし、1登板に終わったが、今季も3試合しか登板していない。1勝2敗で防御率9.53。年俸3億円は、いずこへ‥‥。
「巨人の菅野智之(34)は昨年、開幕直前に右ひじの違和感などもあり、自己ワースト(4勝8敗)を記録しましたが、懸命なリハビリを重ねて、今季は7勝2敗と復活している。投手は誰でも、大なり小なりケガをします。ケガと上手に付き合って成績を残すのもプロのあり方です」
捕手については、伊原氏がセで阪神の梅野隆太郎(33)、パはオリックス移籍2年目の森友哉(28)を指名した。
「5月下旬から23打席連続無安打を記録した梅野の打率は1割8分4厘。去年が1割9分4厘ですから、そこまで悪いとは言えないかもしれないが、盗塁阻止率がセで最下位の2割9分4厘ですから、守備の面も含めて後半戦は頑張ってもらいたいですね。
森の打率は2割7分7厘で梅野よりは打っていますけど、年俸は梅野が1億6000万円で森は4億円。昨年は18本塁打を記録しているのに、ここまで本塁打3本はいただけない。長打率も昨年の5割0分8厘から3割8分4厘に落ちていますし、この成績では額面に合いません」
19年には故・野村克也氏(享年84)以来54年ぶりに捕手史上4人目の首位打者に輝いた森。はたして後半戦での快進撃なるか——。