今年11月に行われるアメリカ大統領選に向け、トランプ陣営による「ハリス攻撃」がどんどんエスカレートしている。
本サイトが7月30日に公開した記事では、ドナルド・トランプ候補(共和党)が副大統領候補に指名したバンス上院議員の過去の大暴言について、詳報した。
「子なしの惨めな猫好き女が、この国をも惨めにしようとしている」
そう名指しで侮辱されたのは、副大統領として大統領選への立候補を表明しているカマラ・ハリス氏(民主党)だった。「猫好き女」は英語で「孤独な女性」を意味する否定的なフレーズであり、「子なし」も含めたバンス氏の大暴言は、猛烈な批判を浴びることとなった。
そんな中、7月30日にジョージア州アトランタの選挙集会で演説したハリス氏は、集会やSNSで誹謗中傷攻撃を続けつつも自らとの討論会に応じようとしないトランプ氏の弱腰を皮肉り、次のように反撃、挑発した。
「言いたいことがあるのなら、面と向かって言え!」
この挑発がよほど気に障ったのか、トランプ氏は翌7月31日、イリノイ州シカゴで開催された全米黒人記者協会の年次総会で、あろうことか、ハリス氏の出自について次のように言い放ってみせたのだ。
「彼女はインド系なのか、それとも黒人なのか。ずっとインド系と宣伝していたのに、突如として方向転換し、今は黒人として知られたがっている」
インド出身の母親とジャマイカ出身の父親を持つハリス氏は、これまで自らの出自について「アジア系の黒人」と説明してきており、トランプ氏の指摘は全くのフェイク、イチャモンの類だったのである。
ちなみにトランプ氏は「オバマ元大統領はアメリカ生まれではない」という、人種差別的なニセ情報をタレ流してきた人物でもある。
それにしても今回のトランプ発言は、きわめて差別的かつ侮辱に満ちているだ。先の暗殺未遂事件後、国民に「団結」を呼びかけたしおらしさは、やはりポーズにすぎなかったのか。
(石森巌)