自民党の小泉進次郎元環境相が中小企業や書店を視察するなど、露出の頻度を増やしている。共同通信はこれを「9月の党総裁選を意識した動きだとの見方が党内で出ている」と伝えた。出馬に意欲があるということだろう。
7月29日には神奈川県横浜市の会社を訪れ、電気で発熱する特殊な布を用いた食品加熱用のカバンなどについての説明を受けた。この後、記者団の取材に応じると、
「素晴らしい技術を持っている会社が世の中に知れ渡るよう、我々も後押ししたい」
と語っている。
ただ同時に、露出回数が増えてメディアの前で話す機会が多くなれば、「ポエム」と呼ばれるその特徴的な言い方が注目を浴びることになる。
小泉氏は環境相時代の2019年9月、ニューヨークで行われた国連気候変動サミットの非公式会合後の記者会見で、次のように力説した。
「気候変動のような大きな問題は楽しく、クールで、セクシーに取り組むべきだ」
2020年2月には、新型コロナウイルス対策本部の会合を欠席して地元の新年会に出たことについての会見で、
「反省していると言いながら、反省している色が見えない。そういったご指摘に対しても、私自身の問題だと反省している」
と、よくわからない反省の弁を述べている。
まだある。2021年4月に政府が2030年度の温室効果排出を46%(2013年度比)削減する目標を定めたことを受けて、TBSの報道番組で、
「くっきりした姿が見えているわけではないけど、おぼろげに浮かんできたんです。46という数字が」
この発言は根拠が曖昧だとして、批判を受けた。
その独特な言い回しは、7月7日に投開票された東京都知事選で2位になった前広島県安芸高田市長・石丸伸二氏の「石丸構文」と比較されている。「威圧的な石丸氏に比べれば平和的」と受け止められているようだが、自民党内の評価は違う。ある閣僚経験者は、
「小泉氏が出馬すれば、総理総裁になるにはあまりに言葉が貧相で中身がないことが、かえって目立ってしまうのではないか」
こればかりはおぼろげでなく、明確な不安しか出てこないようだ。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)