自民党・青年局長留任後、沈黙を守っていた小泉進次郎が、いよいよ始動した。若手を中心とした会合では、最大派閥を超える国会議員が集結。さらに「竹島の日」には、党幹部として公式に参加することを決定するなど、にわかに周辺が慌ただしくなってきた。その背後に見える思惑とは─。
自民党関係者が興奮気味に語る。
「永田町の一部では、ここ最近の動向に関して、『事実上の進次郎派旗揚げか』という声がささやかれています。進次郎もこれまで以上に意欲的のようで、通常国会召集前には、新メンバーの議員会館事務所への挨拶回りを精力的にこなしていました」
第2次安倍政権発足の“影の功労者”と言われる小泉進次郎(31)。一部では、入閣も取りざたされたが、本人の強い希望により、自民党青年局長の留任というポジションを選んだ。そして、震災復興を進める「TEAM︲11」としての活動ばかりがクローズアップされてきたが、ここにきて、その存在感が日に日に増しているのだ。
政治部記者が言う。
「今月22日には、島根県が主催する『竹島の日』式典に青年局所属の国会議員とともに出席します。背景には、党執行部が若手代表として小泉氏を前面に押し出す戦略があるようです。だがそれ以上に、今年は島根県の青年局内部からの強い要請もあったといいます。地方の声を吸い上げて代弁する小泉氏ならではの姿勢を表していますね」
「竹島の日」は05年3月、竹島の島根県編入100周年を記念して制定された。県は翌06年から、毎年2月22日に式典を開いているが、進次郎は野党時代の昨年も式典に参加。地元の漁協関係者らと意見交換をしてきた経緯がある。
当初、自民党は、昨年の衆院選時に発表した「総合政策集」の中で竹島の日を日本政府主催の式典として開催することをうたっていた。ところが、今月25日に控える韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の就任式への対外的な配慮から開催を見送った。そこで、白羽の矢が立ったのが進次郎だった。
「式典には島根1区選出の細田博之幹事長代行も参加予定ですが、人気の高い小泉氏を出席させることで、若年層にも領土問題への意識を持ってもらおうという魂胆があるようです」(自民党担当記者)
進次郎を巡る動きは、これだけにとどまらない。
1月30日、進次郎が局長を務める自民党青年局の役員会が開かれ、今後、毎週、役員懇親会を開くことが決定したのだ。
しかもこのメンバーが、総勢82名。09年の政権交代選挙で惨敗して以来わずか18人で活動してきたが、昨年末の総選挙で大勝。一気に膨れ上がった結果、今や最大派閥の町村派をしのぐ勢力が結集しているとして“小泉派旗揚げ”とまで言われているのだ。
永田町関係者が語る。
「進次郎本人は、派閥旗揚げの話は一蹴していますが、実際には、青年局を中心とした若手議員勢力の声は、無視できないということです。役員会は45歳以下の党所属国会議員で構成されるだけに、夏の参院選では先兵として奔走するメンバーばかり。彼らを無視しては、選挙戦は戦えません。ましてや、その青年局を束ねるのが、安倍総理や麻生副総理よりも国民人気の高い進次郎。ますます彼の発言力が増し、派閥の領袖としての貫録すら感じさせます」(前出・政治部記者)
2年生議員ながら、進次郎本人の思惑とは裏腹に、その注目度は一段と高まっていると言えよう。