お笑いタレントのほんこんが、元プロテニス選手でスポーツキャスターの松岡修造に苦言を呈したのは、8月3日に放送された「土曜の午後は、トコトンほんこん!」(ラジオ大阪)でのことだった。
コトの発端は8月1日、パリ五輪バスケットボール女子の試合だった。日本代表は1次リーグ第2戦のドイツ戦に臨んだのだが、第2Qまで36-42と、ドイツに6点差の接戦を演じていた。第1戦のアメリカ戦を落としていた日本としては、決勝トーナメント進出に向けて是が非でも勝ちたい試合だったが、後半に向けて大事なハーフタイムを過ごしていた時のことだった。
テレビ朝日の中継のレポーターとして現地にいた松岡が、日本の視聴者をあ然とさせてしまったのだ。それは、日本代表の主将・林咲希に対してインタビューを敢行したからだ。
林は前半の総括や、後半に向けての意気込みなどを質問する松岡に、真摯に受け答え。時間にして40秒足らずだったが、これが「余分な行為」「選手のことを考えていない」と、大きな反感を買ってしまった。
ラジオで、ほんこんは「ハーフタイムって試合中やで」「お前アスリートやってたんやからわかれ」「テレビのエゴやで、そんなん」と手厳しく批判して、それにリスナーが同調する流れになったのだが、
「松岡を批判するのは間違いです。インタビューは事前に決まっていたはずですから、文句を言うならテレビ局とバスケ協会に対してでしょう。ほんこんの『アスリートやってたんなら…』という発言はわかりますが、松岡は基本的に単独スポーツのテニス出身。団体スポーツの場合、海外ではよくハーフタイム中にコーチや選手に話を聞くことがあるんです。ですが、日本ではあまり見かけないことで違和感を覚えた人たちが多かったのでしょう。1つ言えるのは、それがプロチームの興行ではなくて五輪だったということ。確かにツッコミを入れる余地はありますが…」(スポーツライター)
これでインタビュー後、選手たちが吹っ切れて逆転劇…となれば「終わりよければ」となったはずだが、残念ながら試合は後半に突き放され64-75で敗れた。傷心の日本は第3戦のベルギー戦では心技体ともバラバラで58-85と大敗し、3戦全敗でグループリーグで敗退となった。そこに東京五輪の銀メダルの面影はなかった…。
試合中のインタビューに慣れない日本の視聴者のせいで、批判の矢面に立つことになった松岡だが、どんどん失速していった女子バスケをどういった気持ちで見届けたのだろうか。
(石見剣)