なんともあからさまな「インチキ」だった。
「問題のシーン」は8月6日の巨人×広島戦、0-5で迎えた7回裏に飛び出した。二死走者なしの場面で、巨人阿部慎之助監督は9番・泉口友汰の代打に、助っ人のモンテスを起用する。
モンテスは初球の144キロ直球を空振りした後の2球目、広島・アドゥワが投じた内角へのカーブに対し、左ヒジをダランと下げる形で落ちる軌道に合わせ、ボールが当たるよう動く。まんまと左ヒジを直撃すると自ら死球と判断して、スタスタと1塁に向かって歩き始めた。
ところが有隅球審はこれを「故意」と判定。「ただいまのプレーは投球に当たりにいったと判断いたしまして、ボールと判定いたします」と場内に説明したのだった。
リプレー映像では、あまりにも露骨に球に当たりにいくモンテスの姿が滑稽ですらあり、「さすがにこれはやりすぎ」と、巨人ファンも苦笑いするしかなかった。
モンテスは16打席連続ノーヒット中で、なんとしても塁に出たいという一心だったのだろうが、これが「マヌケな珍プレー」を招いてしまった。
ここで巨人ファンがモンテスに指摘したのが「小林にアドバイスしてもらえ」というものだった。なんのことかといえば、ヒジへの故意死球と聞いて思い浮かべるのは、小林誠司だからだ。
なにしろ小林は2014年8月5日のDeNA戦で、2打席連続でヒジを出しての死球を選んでいる。これがわざととは思えない絶妙な出し具合であり、DeNAの中畑清監督が「あれはわざとでしょ。クセになっている。2回目はストライクじゃないか。本人もそう思って動かなかった」と苦言を呈している。
小林にアドバイスを求めろはさすがに冗談だろうが、それほどの「技術」を持っているということだ。
実は小林はDeNA戦での2回以外にもヒジ出しを試み、失敗に終わっている。3回目は同年8月9日の中日戦で、山井大介が投じた内角へのスライダーにヒジを出そうとするものの、曲がりが大きく未遂に終わっている。この時は小林のあまりにもさりげないヒジ出しに、SNSが大荒れした。
また9月24日の中日戦では、大野雄大の内角への直球に、ムダのないフォームでヒジ当てにいったものの、球審から「避けようとしていない」と判断されてボール判定になっている。
ここまで執拗にヒジ当てを繰り返した小林にはアキレるしかないが、モンテスが小林譲りの「匠の技」を習得し、また「ヒジ死球」を試みるかもしれない。
(ケン高田)