広島、楽天でプレーし、現在はルートインBCリーグ・福島レッドホープスで投手兼任コーチとして活動する福井優也が、現役を引退することがわかった。
「自分のわがままで、ここまで野球をやらせてもらった。今後は家族のことを優先したい。右肩の状態もよくなく(引退を)決断した」
そう語った福井にとって、8月31日の栃木とのホーム最終戦が引退試合となる。
済美高から早稲田大学に入学すると、「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹、大石達也(現・西武2軍投手コーチ)らとともに「早大三羽烏」と呼ばれ、2010年のドラフト会議で広島から1位指名を受けた。NPB通算12年で32勝41敗、防御率4.58の成績を残し、2022年から福島に活躍の場を移していた。
関係者の話によると、福井はコーチとしてNPB復帰を目指しているという。となると古巣の広島が有力候補として浮上するが、その可能性はあるのか。広島ファンはこぞって、福井のカッとしやすい性格を指摘しているようだが…。
そもそも福井は、感情を露わにするタイプ。5月12日の群馬ダイヤモンドペガサス戦では4回二死一・三塁の場面で暴投すると、頭に血が上ったのか、ボールをグラウンドに叩きつけた。これで全ての走者を帰還させ、逆転を許すという大失態を演じたのである。このシーンに多くの広島ファンは「変わってないな」と感じたのではないだろうか。球界関係者が嘆息する。
「独立リーグに移ったことで、精神的な成長に期待がかかっていましたが、さすがにアレは酷かった。とても36歳のコーチ兼任投手の行為とは思えませんでしたね。広島のコーチ陣は新井貴浩監督を筆頭に、ネガティブな感情を表に出すタイプはいません。裏方スタッフの可能性はあるかもしれませんが、現状でコーチ就任へのハードルはなかなか高いのではないですか」
思い起こせば2010年のドラフト時、1巡目の指名で斎藤が4球団、大石が6球団で競合する中、福井の名は呼ばれず。外れ1位で広島が指名した。他球団からは声がかからず、広島の単独指名が濃厚となった時点で「もうないじゃん…」とうつむきながらつぶやいた。
入団後はキャンプでのブルペン入りを渋るなど、ファンからは「カープに入るのが本気で嫌だったのでは…」という声が出たほどだ。
福井は広島ファンの間でも好き嫌いがはっきりと分かれる選手だった。しかし福島での「ボール叩きつけ事件」が、NPB復帰に大きな影を落とすとは…。
(ケン高田)