悪意に満ちたひと言の代償は、いったい何億円になるのか。
Google Japanは8月6日、ピン芸人・やす子への暴言で大炎上したフワちゃんが出演するスマートフォン「Google Pixel」のCM動画を非公開にした。同機種の写真編集機能を紹介していた「消しゴムマジックで消してやるのさ」でおなじみのCM動画は現在、視聴できなくなっている。
「Googleは、他者を尊重しない行為に関しては厳格なポリシーを有しています。この度は該当するタレントを起用したGoogle Pixelで展開している広告・販促物などの掲載を停止いたしました。契約関係につきましては、今後、Googleのポリシーに沿って適切に判断いたします」
これがその理由だ。行間からは静かな怒りが伝わってくる。
フワちゃんの暴言が出たのは、最悪のタイミングだった。Google Pixelの最新機種「Google Pixel 9」が週明けにも発売される見込みだからだ。
Googleは本社のある米カリフォルニアの現地時間8月13日午前10時(日本時間14日午前2時)に、本社でGoogleのAIや「Android」「Pixel」の発表会を開く。この発表会を受けて、日本国内では翌日から同機種の販売予約が始まるのが慣例だ。
前評判では同機種はカメラの性能が画素数、広角望遠レンズ、オートフォーカス機能が大幅にバージョンアップされたそうで、日本の予約開始日はお盆休み中。アメリカ以上の反響が見込まれる。広告代理店スタッフが今後の見通しを語る。
「Googleは新機種発表に合わせて新CMを準備していたでしょうから、それもお蔵入り。フワちゃんは契約打ち切り、違約金の支払いだけでは済まされず、CM制作費等の賠償請求の可能性まで出てきました」
この代理店スタッフによると、その金額たるや、
「相手がアメリカ4大IT企業のGAFAですから、違約金だけでも10億円は下らないかも…」
ついでに書いておくと、フワちゃんはやはりアメリカに本社を置くSNS、X公式アカウントで有料会員向けのサブスクリプションを展開。問題発言の謝罪文はすでに1億7000万件超えのインプレッションを叩き出しているが、これらの収益も失うとみられる。
フワちゃんの所属事務所は、問題発言の公式Xアカウントはすでに凍結されたと弁明。凍結アカウントは収益化資格を失うからだ。
これは筆者の実体験に基づいている。同じくX上で「子供の粗末な250円給食に対し、寝たきり高齢者には1食800円もする経管栄養を無償でバラマキ」を問題提起し、3700万インプレッションを稼いだ直後に、Xアカウントが凍結、収益化資格を奪われた。その理由については「Xルールに違反」と返答するのみで、何が問題なのか、詳細はいっさい答えていない。
フワちゃんの問題行動を発達障害と結びつける報道やコメントが溢れているが、それも違う。もしフワちゃんに衝動的に問題行動を起こす「障害」があるのなら、契約タレントが立場上知りうるGoogle Pixel最新機種の極秘情報だって書き込んでいただろう。
フワちゃんは自分より「格上」とみなした相手には従順さを示し、勝手に格下と見下した相手には「死ね」と言う「選別」をしている。そんな腹黒さは「障害」ではなく「裏の顔」。彼女が発した「言葉の凶器」は、Googleが誇る最新技術消しゴムマジックをもってしても、消すことはできない。
(那須優子)