フワちゃんの暴言炎上騒動が、存続の危機にある日本テレビの夏の恒例特番「24時間テレビ」にまで飛び火した。
今年のチャリティーマラソンランナーは、ピン芸人のやす子。8月4日のXへの投稿〈やす子オリンピック 生きてるだけで偉いので皆優勝でーす〉を、フワちゃんの公式アカウントが引用投稿。それが〈おまえは偉くないので、死んでくださーい 予選敗退でーす〉だった。冗談とはいえ、やす子に自死を強要する中傷コメントは、またたく間に大炎上した。
卑劣投稿は直ちに削除され、フワちゃんの謝罪コメントに書き換えられている。
だがSNS上でのユルい謝罪だけで、これが許されるはずもない。ニッポン放送は8月5日19時に公式アカウント上で〈今夜27時から放送予定の「フワちゃんのオールナイトニッポン0」は、昨日SNSにてパーソナリティーによる不適切な投稿が確認できたため、休止致します〉と発表。今後、フワちゃんが出演するCMや他の番組にも波及するとみられる。
中でも最悪のキャスティングなのが、冒頭で挙げた「24時間テレビ」だ。
今年は8月31日から9月1日にかけて放送予定。例年の進行では番組終盤の21時前に、チャリティーマラソンランナーがゴールする。その後「行列のできる相談所」でランナーを労う特番が展開されるが、今年はやす子がチャリティーマラソンランナーであり、フワちゃんは「行列」にレギュラー出演している。やす子のゴールを自死強要発言したフワちゃんが待ち構える、という最悪のキャスティングが懸念されるのだ。
すでにフワちゃんの暴言で〈過去のイジメ体験がフラッシュバックして辛い〉と吐露するSNS上の書き込みがあふれている。しかも今年の「24時間テレビ」はマズイことに、1年で最も子供の自死が多い「夏休み明けの始業式」前夜に放送される。
問題発言のスクリーンショットと謝罪投稿はすでにSNS上で1億5000万超のインプレッションを記録しており、この卑劣発言でイジメ被害がフラッシュバックした子供や元イジメ被害者が「24時間テレビ」終了後の9月2日に発作的に自傷行為に及ぶおそれが出てきた。
ちなみに例年、夏休み明けの始業式には小学校低学年から大学生まで130人以上の未成年者が、自ら命を絶っている。
イジメ被害者は常日頃から自死を意識しているわけではない。むしろ加害者を見返すために、懸命に生きようとしている人達がほとんどだ。
ところが自死が未遂に終わった生存者に話を聞くと、何かのきっかけで辛いイジメ経験がフラッシュバックし、発作的に窓や駅のホームから…という行動をとったのだと。あるいは無意識のうちにフラフラと飛び出した、とも。
不条理なのは、フワちゃんのように軽い気持ちで「死」を口にしたイジメ加害者は、被害者が自死に追い込まれるまで苦しんでいることも知らず、イジメたことも暴言を吐いたことも忘れてしまっている現実だ。
児童福祉施設で過ごした経験があるというやす子は、施設への恩返しと将来を絶望する子供たちを勇気付けるため、今年の殺人的な猛暑の中でも懸命に走ることだろう。
だが日本テレビの看板番組にレギュラー出演するフワちゃんの「暴言」は、もう消えない。今年の始業式、例年以上の犠牲者を出さないよう、テレビ局の自己満足を見せられる「24時間テレビ」を中止してはどうか。
(那須優子/医療ジャーナリスト)