元日本代表のストライカーとして活躍した武田修宏氏がタレントを引退し、指導者に転身すると明らかにした。
ネットのインタビューサイトで語ったもので、コロナ禍の最中にバラエティー番組で活動を続けることが正解なのかと考え、好きなサッカーの世界に戻ることを決めたという。所属していたホリプロを、すでに退所。Jリーグの監督を目指す。
この決断に驚いたというのは、武田氏をよく知るサッカーライターだ。
「サッカー選手が引退した後は指導者の道に進むか、テレビやYouTubeで試合の解説をするのが定番です。ところが武田氏は芸能活動が主体だった。当初はバラエティー番組だけでなく、俳優として活動していくつもりだと話していました。そのため、大手の芸能事務所ホリプロと契約したんです。指導者の道に進まないのかと聞いたら『俺に監督をさせるクラブはないでしょ』と自分を冷静に分析していたんですが、いったいどんな心境の変化があったのか」
芸能活動を中心には据えたものの、Jリーグの監督に就任できる「S級ライセンス」は、
「監督になるつもりはないが、将来、何があるかわからないから」
と語り、2005年に取得している。監督就任に向けて、問題はない。ただし、その可能性は低いのではないかと、サッカー関係者は言うのだ。
「監督になるにはまずユースなど下部組織のコーチから始めて、手腕が認められたらJ2やJ3などの監督として起用される。そこで結果を残して、ようやくJ1の監督になれます。武田さんもこの道を歩むことになるでしょうが、問題になるのが年齢です。57歳の彼をコーチとして起用するクラブがあるかどうか。かといって、いきなり監督のオファーが舞い込むとは考えにくい。現役時代にFWだったのも懸念材料で、監督に向くのはチーム全体を見られるボランチやセンターバックだというのが、サッカー界の定説です」
決して簡単な道ではないが、先のサッカーライターは「武田氏ならやれるのでは」とエールを送る。
「ボールが目の前に転がってきてシュートする『ごっつぁんゴール』のイメージが強く、頭を使ったプレーは不得意と思われがちですが、静岡の進学校出身で、頭は悪くない。性格も几帳面で、周囲への気配りができる。弁が立つ人ですし、監督には向いています。Jリーグの監督といわず、日本代表の監督を目指してほしい」
いつか「武田ジャパン」が誕生するかもしれない。
(鈴木誠)