お召し列車を牽引したことがある「国鉄DD51形ディーゼル機関車842号機」をはじめ、高崎支社に所属する5両のレジェンド級機関車が、9月のファイナル運転で引退する。理由は車両の老朽化だ。
鉄道車両は古くなれば運用から外れ、廃棄されるのが当たり前だが、これらの車両はどれも引退させるのが惜しい名機関車ばかり。なんとか延命して、走らせ続けることはできないのだろうか。
「車両そのものはまだまだ走れるのですが、一部のパーツがないので、走らせることが難しくなっているんです。同じ機関車の別車両からパーツを取っていたのですが、それもなくなりました。延命はもう限界なのです」(鉄道ジャーナリスト)
パーツがないのであれば作ればいい、という考えも浮かぶ。近年、3Dプリンターの登場によって、パーツを数個単位で安価に作れるようになった。しかし、それは不可能なのだと、先の鉄道ジャーナリストは言うのだ。
「歯車やボルトなど機械的なパーツであれば3Dプリンターで作ることができますが、機関車に不足しているのは半導体を含む電装部品なんです。これらは3Dプリンターでは作れません。メーカーに製作してもらおうとすると、とんでもなく高価になるか、もしくはそもそも作れない。もはや打つ手がありません。より古い蒸気機関車は機械的なパーツだけなので、修理して使い続けることができるんです」
鉄道の歴史を物語る貴重な車両だけに、今後も走り続けてほしいが…。
(海野久泰)