11月5日から伯備線を中心とする岡山駅-出雲市駅の間には、理由がない限り近寄らないほうが無難かもしれない。日本中の撮り鉄がここに集結する可能性があるからだ。なぜ、伯備線が撮り鉄の注目を集めているのか。鉄道ライターはこう解説する。
「伯備線を走る381系が来春から新型車両に置き換わり、2024年度中に引退してしまうからです。381系は国鉄が開発と設計を担った、いわゆる『国鉄型』で、今はここしか走っていませんからね」
貴重な国鉄型が引退するだけでも撮り鉄が集まるには十分な理由だが、11月5日からは特別な塗色の車両が走ることになっている。それは1997年から2011年まで走っていた、灰色のボディに緑色と黄色の帯が施された「緑やくも色」。これで4色のやくもが登場することになる。
「11年からは白地に朱色の帯の『ゆったりやくも』塗色(写真)が走っています。22年からは、やくもが伯備線で運転を始めて50周年を記念し、クリーム色と朱色の『国鉄色』の車両がリバイバルされました。さらにピンク色の『スーパーやくも』塗色も登場。緑やくも色が走り始めれば、一気に4つの車両を撮れるわけです」(前出・鉄道ライター)
4つの塗色がすべて走るのがいつまでなのかわからないため、早めに撮っておこうというのが撮り鉄の心理。11月5日から沿線は撮り鉄が殺到しそうなだけに、トラブルが起きないことを祈るばかりである。
(鈴木誠)