ひょっとしたら、今オフの助っ人市場の目玉選手になるかもしれない。北海道日本ハムファイターズのアリエル・マルティネスに「退団説」が囁かれているのだ。理由は簡単で、捕手としての出場機会が激減したからだという。
マルティネスの登録は捕手ながら、実際は一塁やDHでの出場が多い。昨シーズンは230イニングで捕手として出場したが、今季はまだ1イニングもマスクを被っていない(8月13日の試合終了時点)。
日本と海外では、捕手の重要性は大きく異なる。日本では「司令塔」、すなわち守備の要であり、配球に関する責任を負うため、「グラウンド上の監督」と言われてきた。
マルティネスはそうした日本球界の事情を理解し、インサイドワークの勉強を積み重ねてきたが、今シーズンは田宮裕涼の成長もあって、打撃面での期待が大きくなった。
7月に入って以降、マルティネスの打撃成績は落ちている。7月の月間打率は1割台で、8月になってもまだ復調の兆しは見えてこない。
だが、昨シーズンは15本塁打、規定打席数に到達し、66打点を稼ぎ出している。近年、多くの球団が外国人スラッガーの不振に苦しんでいる事情を考えると、マルティネスを残留させるメリットは大きい。
だが日本ハムの一塁、DHには清宮幸太郎、郡司裕也、レイエス、野村佑希らがいて、外野でも水谷瞬が台頭してきた。マルティネス自身が出場機会を求めて、他球団移籍の道を選択する可能性はゼロではない。パ・リーグ球団のスコアラーが言う。
「打撃力の高い捕手と解釈すれば、どの球団も興味を示すでしょう。でも彼の捕手としてのインサイドワークには、不安要素が残ります。中日での育成契約期間を含め、今季が7年目。日本人捕手と同じような配球ができるとみる向きもあるようですが…」
あの新庄剛志監督だからマルティネスを捕手で使った、との声は聞かれる。契約満了の選手に対てしは、シーズン中から下交渉を始めておかなければ、オフの残留は厳しいという。マルティネスの去就について何も聞こえてこないのは、非常に気になるところだ。
(飯山満/スポーツライター)