勇気ある告白だった。梅宮アンナが8月13日夜、自身のインスタグラムのライブで「ステージ3A」の乳ガンが見つかったと発表した。すでに抗ガン剤治療を受けていることも明かしている
彼女が冒されているのは「浸潤性小葉ガン」で、50代以上に多い。本人のライブによると、5月下旬、入浴後に右胸がブラのカップにして1サイズ分小さくなっていることに気付いたという。
「浸潤性小葉ガン」罹患者は日本国内の乳ガン患者の5%という珍しいものである上、区市町村や職場の健康診断で行われるマンモグラフィーやエコー検査では早期発見されにくい「絶望的なガン」だ。
彼女の場合もマンモグラフィーやエコー検査では異常が見つからなかったという。だが、父・梅宮辰夫のガン闘病をよく知る彼女は「誠意ある」名医に恵まれた。
「浸潤性小葉ガン」はアンナさんの母・クラウディアさんの故郷アメリカでは乳ガン患者の15%を占めるなど、欧米人に多い。アンナさんの家族歴に着目した主治医がここで門前払いをせず、根気強く精密検査を続けてくれたおかげで「命拾い」したと言える。
マンモグラフィーとエコー、PETで異常は見つからなかったが、さらに右胸の組織を調べたところ、ガンが見つかった。しかも右ワキ下のリンパ節にまで転移していたという。不幸中の幸いがあるとすれば、抗ガン剤の効果が出やすいガンということだ。抗ガン剤でガン細胞を徹底的に叩きのめし、小さくなったところで切除手術を受ければ、5年生存率は上向きへと転じる。
ライブの途中、涙を浮かべるアンナさんの闘病告白に、筆者は小林麻央さんの悔恨を重ねた。
麻央さんも最初に検査を受けた有名病院で、マンモグラフィー上は異常がなかったと誤診された。別の病院で乳ガンとわかった時にはすでに、ガンが皮膚を破るほど進行していた。病床から公式ブログ「KOKORO.小林麻央のオフィシャルブログby Ameba」に、次のような激しい後悔と無念さを綴ってる。
〈「人間ドックの先生には、五分五分で癌と言われたのですが、生検はしなくても大丈夫でしょうか」と聞いてみると「必要ないでしょう、授乳中のしこりですし、心配いらないですよ。半年後くらいに、念のため、また診てみましょう」と言われました。事前に聞いていた乳腺専門の先生2人の意見と同じで、ほっとしました〉(2026年9月11日付)
〈あのとき、もうひとつ病院に行けばよかった。あのとき、信じなければよかった あのとき、、、あのとき、、、〉(2016年9月14日付)
かつてアンナさんと交際していた羽賀研二は、愛娘を心配する梅宮辰夫に「誠意」を連呼していたが、乳腺外科医選びで重要なのも、ブランドや知名度ではなく「誠意」だ。ブランド病院ほど患者が殺到し、精密検査というのにわずか数分で検査や診察が終わり、患者対応が杜撰な印象を受ける。
アンナ、麻央さんの涙から学ぶべきは「画像を見ただけでは、乳ガンは見落とされる」という教訓だろう。人間ドックを受ける際、乳ガン検査オプションをつけると数万円高くなってしまうが、どうか1年に一度は経験豊富な医師のもとで、丁寧な乳ガン健診を受けてほしい。
(那須優子/医療ジャーナリスト)