パリ五輪のメダルは世界一の大富豪ベルナール・アルノー氏が率いる「モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(MHLV)」グループ傘下の宝飾ブランド、ショーメが手がけたはずだが…。
メダリスト達から「メダルのメッキが剥がれてボロボロになった」という訴えが相次いでいる。
きっかけは、スケートボード男子ストリートの銅メダリスト、ナイジャ・ヒューストン(アメリカ)が自身のインスタグラムに投稿した写真だった。 表彰台に上がってからわずか1週間、「僕のメダルは戦争から帰ってきたみたいになった」とのボヤキとともにアップされた写真を見ると、銅メダルのメッキの中央部分が剥がれ、地金が酸化して変色している。
ヒューストンはこう説明している。
「汗をかいた肌に触れたり、友人にかけたりしただけで劣化した」
インスタのコメント欄には「銅メダルだから劣化するのは当然」との反論や嫌がらせコメントも寄せられたが、これらの中傷を黙らせたのが、バドミントン王者の「衝撃写真」だった。
バドミントン男子シングルスで東京五輪に続く連覇を果たしたビクトル・アクセルセン(デンマーク)が公式Xアカウントにアップした、東京五輪とパリ五輪の金メダルの比較動画を見てみよう。
パリの現地時間8月5日に首にかけられた金メダルは、わずか5日後に退色、くすんで色が褪せているのに対し、3年前の東京五輪金メダルは鮮やかな金色の輝きを放っている。メッキとはいえ、金の純度が高ければ、こんな短期間で変色することなどないはずだが…。
「被害」は日本選手にも出ている。8月13日には体操男子団体総合で2大会ぶりの金メダルを獲得した谷川航が、TikTokで動画を更新。その金メダルは褪色こそしていないものの、メダルに嵌め込まれた6角形のエッフェル塔の廃材部分の塗装が剥がれ、黒ずんでしまっている。
「ここちょっと、もうね、サビなのか分からない。傷ついちゃったのか、色変わっちゃいましたね」
そう言って、劣化を指摘したのだった。
パリ五輪組織委員会はこれらのメダル劣化を把握しており、選手から申し出があれば鑑定の上、交換に応じるとしている。聖火リレーから開会式、表彰式、閉会式まであれだけ「MHLV」をゴリ押ししておきながら、作ったのは文字通り「メッキが剥がれた」粗悪品。これが「おフランス」ブランドの真の姿なのかもしれない。
ちなみに東京五輪のメダルは造幣局が製作、金メッキ液加工などは田中貴金属が受注した。東京五輪後には河村たかし名古屋市長が女子ソフトボール・後藤希友投手の金メダルをいきなり齧る行為に及んだが、メダルそのものに損壊はなかった(その後、メダルは国際オリンピック委員会の費用負担で交換済み)。
粗末なパリ五輪のメダルにそんなことをすれば間違いなく歯型が残り、傷つき、錆びることだろう。メダリスト達は解団式を終え、応援してくれた故郷や活動拠点に凱旋することになる。くれぐれも首長、政治家におかれては、選手とメダルに最大限の敬意を払っていただきたい。
(那須優子)