今年の7月26日から8月11日まで、第39回夏季オリンピック競技大会がパリで開催される。21年の東京五輪では連日、歓喜沸いて、史上最高の58個のメダルを獲得したものだった。しかし今夏は一転、ため息に包まれそうだ。
スポーツ紙五輪キャップが浮かぬ顔で話す。
「前大会の開催国・日本はメダル獲得総数こそROC(ロシア・オリンピック委員会)の71個、英国の65個を下回りましたが、金メダルは米国(39個)、中国(38個)に次ぐ27個を獲得。ただしパリ五輪では、メダル総数が半減するばかりか、金メダルは激減しそうです。1桁でも驚きません」
日本のお家芸といえば、柔道、体操、競泳と言われ、東京五輪でも各会場のセンターポールに日の丸が12回もはためいた。
「そのうち9個の金メダルを占めたのが柔道でした。男女それぞれ6階級で5個、4個と、圧巻の強さを誇りました。しかし、パリ五輪で金メダル当確と想定されているのは、男子66キロ級の阿部一二三(26)と女子52キロ級の阿部詩(23)の兄妹、女子48キロ級で世界選手権3連覇中の角田夏実(31)の3人しかいない。強敵はもちろん、地元のフランス勢です」(前出・スポーツ紙五輪キャップ)
東京五輪で初採用された種目・男女混合戦でも、苦汁を舐めさせられた相手である。
「初代覇者を確実視されていましたが、1対4の完敗でした。そもそもフランスは柔道大国で、すでに柔道人口は日本を上回ります。96年のアトランタ五輪で古賀稔彦が、00年のシドニー五輪でも篠原信一が仏勢との決勝戦で涙をのんだ。今大会は100年ぶりの地元開催だけに育成&強化が長期にわたって行われ、絶対王者のテディ・リネール(34)を中心にメダル候補がずらっと並ぶ。特に中・重量級は盤石です」(前出・スポーツ紙五輪キャップ)
苦戦が予想されるのは柔道だけではない。スポーツライターが解説する。
「東京五輪で体操男子の個人総合と種目別鉄棒の2冠に輝いた橋本大輝(22)は健在で、すでに五輪代表に選出されましたが、残りの4人が未定。メダル獲得の行方はエースの活躍を待つしかない状況です」
23年7月に福岡で開催された世界選手権で大惨敗(銅メダル2個)を喫した競泳陣は、さらに重苦しい雰囲気だという。
「過去に94年ローマでゼロがありましたが、それ以降では01年福岡の銅4個の最少記録を更新してしまいましたからね。今年3月に行われる代表選考会の個人各種目決勝で、日本水泳連盟が設定したハードルの高い、『派遣標準記録』を突破、しかも2位以内の選手が代表内定となる。現時点では、東京五輪で個人メドレーの2種目でダブル優勝した大橋悠依(28)や白血病から復帰した池江璃花子(23)、男子のエース・瀬戸大也(29)でさえも代表内定が大ピンチの様相です。メダル候補はバタフライの本多灯(22)ぐらいでしょうか」(前出・スポーツライター)
東京五輪の金ラッシュといえば、金3個のスケートボードと金5個のレスリングも思い出されるが‥‥。
「スケボーは前回王者の堀米雄斗(25)でさえ代表争いに苦しんでいるように、現時点で金メダルを確実視されている選手が男女ともに見当たらないんです。レスリングにしても世界のレベルがアップしているために、50キロ級で五輪連覇を狙う須崎優衣(24)と53キロ級で127連勝中の藤波朱理(20)の2人ぐらいしか、金メダルを計算できません」(前出・スポーツ紙五輪キャップ)
さらに判定競技では〝欧州びいき〟も想定され、前途は多難だ。半年あまりで神風は吹かないものだろうか。