テリー だって池上さんは、そこからとんとん拍子に進むでしょう。18歳で「冬の華」(78年)のヒロインを演じられて。実は僕、劇場で3回も観ているんですよ。
池上 まぁ、そんなに。
テリー 高倉健さん主演の代表作として、よく「幸福の黄色いハンカチ」があがりますけど、僕は「昭和残侠伝」と「冬の華」をあげるんですよね。撮影の時の健さんの印象はどうでしたか?
池上 映画と同じですね。まさしく「ステキなおじさま」でした。ただ当時の池上季実子にとっては、「高倉健」という俳優さんはあまり知らない存在だったんですよ。
テリー 女の子は任侠映画なんて観ないからね。
池上 「冬の華」という映画をやるよと言われて、台本を読んで現場に行ったんですけど、高倉健さんに対するスタッフの対応が全然違うんですね。だから「あ、すごい人なんだな」とわかるみたいな。
テリー 周りは緊張していましたか。
池上 もうピリピリでしたね。でも怖くてピリピリしているというよりは「尊敬しているからピリピリしている」といったような。だから、嫌な緊張感じゃないんですよ。
テリー それはきっとそうでしょうね。特に思い出深いエピソードは何ですか。
池上 向こうは大人ですし、周りにも人がいっぱいいらっしゃいますし、私は新人女優ですから、端っこに座ってるという感じだったんですよね。そうすると、健さんが「池上さん、こっち」って言って、みんなをどかして座らしてくださるんです。それで何を思ったのか「皆さん、池上さんのことを頼みますよ」って言ってくださったんです。
テリー さすが。それは感激だな。
池上 優しかったですね。