スポーツ

越中詩郎「新日に移籍してエラい目に遭った」/テリー伊藤対談(3)

テリー メキシコから帰国した時に、全日から新日本プロレスに移籍しましたよね。あれはどういう経緯だったんですか。

越中 もう2年もメキシコにいましたから、そろそろアメリカ本土で試合をやってみたかったんです。それが馬場さんにも伝わっていたはずなのですが、まったく音沙汰がなくて。

テリー どうして?

越中 その時は長州(力)さんたちが全日本プロレスに軍団で殴り込んできて、ジャンボさんや馬場さんたちとやり合うようになって、人数も膨らんじゃって、それどころじゃなかったんじゃないんですかね。そんな時に(新日の)坂口(征二)さんが「メキシコ大変だろうから、ロサンゼルスに飯を食いに来いよ」って声をかけてくれたんですよ。それでロサンゼルスへ2、3回呼ばれて、ハワイにも呼んでくれて。「メキシコの料理は大変だろう。うまいもん食って帰れ」って。

テリー それまで坂口さんと面識は?

越中 全然なかったんです。それで何回か会うじゃないですか、ロサンゼルスとかハワイで。「そろそろ日本に帰って来いよ。帰ってきた時の処遇とかは俺に任せろ。ちゃんとやるから」って。ということで日本に帰って来て、新日本プロレスのリングに上がったという経緯だったんです。

テリー 当時、新日には誰がいたんですか。

越中 若手だと武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也ですよね。後は(アントニオ)猪木さん、坂口さん、藤波(辰爾)さん。

テリー 行ったらみんな優しくしてくれましたか。

越中 いやぁ、優しいなんて。エラい目にあいましたよ。

テリー 何ですか、エラい目って。

越中 やっぱり「よそから来た野郎だな」という。「よく来てくれた」って言ってくれたのは、坂口さんと星野勘太郎さんだけですね。

テリー 一番厳しかったのは?

越中 (山本)小鉄さんですかね。真夏に道場の窓を閉め切って、「じゃあ、これからスクワット」って、1000回やるんですよ。道場の気温、40度ぐらいまで上がるんです。

テリー 今だったら絶対やらないですよね。

越中 やらないです。

テリー そうすると、「とんでもないところに来てしまった」と思うんですか。

越中 思いましたね。でも、すごいですね。今、熱中症とかで大騒ぎしてますけど、当時それでぶっ倒れた奴は1人もいなかったですね。

テリー 体には絶対よくないですよね。

越中 よくないです。あと、猪木さんが来て、若手連れて走りに行っちゃったんですよ。奥多摩まで行っちゃって、タクシーで帰ってきたんです。

テリー どういうことですか(笑)。

越中 道場は世田谷にあるんですよ。通りをずっと走って行って、気がついたら奥多摩だったんで、「帰れない」って若手と一緒にタクシーで帰ってきたんですよ。朝の10時頃に出て行って、戻ってきたの夕方の4時頃ですよ。

テリー 5、6時間走ってるんだ。いいねぇ。猪木さんらしい(笑)。

越中 すごかったですね。

テリー 猪木さんはどんな人だったんですか。

越中 新日本プロレスのオフィスで小林邦明と「住宅ローンがどうのこうの」みたいな話をしてたんですよ。そうしたら猪木さんがたまたま来て、「お前らの夢は小さい。俺は来年ぐらいには世界一の金持ちになるから見とけ」って言われたんです。

テリー なんか怪しい永久電池の話とかしてましたよね。

越中 そうです(笑)。それから何年経っても世界一にはならなかったですけど。でも、やっぱりそういう大きな方でしたね。

ゲスト:越中詩郎(こしなか・しろう)1958年、東京都生まれ。1978年、「全日本プロレス」入門。1979年、公式戦デビュー。1984年、三沢光晴と共にメキシコ武者修行へ旅立ち、「サムライ・シロー」の名で活躍。1985年には「新日本プロレス」へ移籍し、旧UWFから戻ってきた高田伸彦(現・延彦)との抗争でブレイク。1992年には反選手会同盟(のちの平成維震軍)を結成した。2003年、契約満了により新日本プロレスを退団すると、長州力らが旗揚げした「WJプロレス」に移籍。その後はフリーランスとして、新日本、全日本、ノア、ハッスルなどで活躍。8月24日(土)、デビュー45周年記念大会が後楽園ホールで開催される。

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