社会

このままでは9月に感染爆発!「マイコプラズマ肺炎」蔓延は「コロナ助成金ウハウハ医者」による人災だ

 あまりに発表が遅すぎた。

 国立感染症研究所はお盆休み期間の8月13日付週報で「マイコプラズマ肺炎」が大阪、埼玉などで4週連続で増加傾向にあると発表したのだ。

 これはマイコプラズマという病原性微生物が原因の肺炎で、乳幼児から中学生に多い。しつこい咳が出て医療機関を受診し、胸のレントゲンを撮ると、肺が真っ白になっていることで判明する。

 このため「白い肺炎」「歩く肺炎」もしくは4年に一度、夏季五輪が開催される年に世界的に感染爆発することから「オリンピック肺炎」と、様々な「別名」がつけられている。

 過去の履歴を裏切らず、今年もパリ五輪開幕とともに「マイコプラズマ肺炎」が猛威をふるい出したが、今年に限って言えば、これは「コロナ脳医者」による人災と言っていい。

 冒頭で「国立感染症研究所の発表が遅すぎた」と書いたが、実は都内各地の看護師会、養護教諭、保健師の間では、5月のゴールデンウィーク明けから「マイコプラズマで入院する幼児が増えてきた」と情報共有、警戒を強めていたからだ。

 東京23区ではゴールデンウィーク後、マイコプラズマ肺炎で入院する子供が続出。区内7カ所の保育園でマイコプラズマが流行し、幼児が呼吸困難を起こして救急搬送された、との報告が上がる自治体もあった。

 ところが、ここで小児科を受診したか、他の診療科を受診したかで「子供の扱いがまるで違った」と、2歳児と小学生の母親である都内の主婦が、怒りを込めて証言する。

「5月末、ウチの子が通う保育園で、3人の子供がマイコプラズマで入院しました。わが子も咳が3週間続いたため、近くの呼吸器内科に相談しました。ところが『子供の通園先でマイコプラズマが出た』と訴えても『たった3人でしょう』と鼻で笑われ、希望したレントゲンは『必要ないから』と撮ってもらえず。こちらが希望もしていない新型コロナとインフルエンザの検査だけして、陰性だと言って帰されました。憤慨してクリニックをあとにすると看護師が追いかけてきて『心配なら他の病院も受診してください』とコッソリ言われました」

 この看護師の助言は正しかった。母親の証言は続く。

「呼吸器内科医の態度に納得がいかないのと、子供の咳と微熱が続くため、数日後に小児科を受診しました。すると『胸の音を聞いても、肺炎の兆候はありません。でも保育園でそんなにマイコプラズマの患者が出ていて、お子さんも苦しそうなら』と言われ、マイコプラズマに効く抗生物質を出してもらったところ、咳はピタリと止まりました」

 マイコプラズマの確定診断には至らなかったが、小児科医の機転で咳は治まった。このように看護師や保健師の間に危機感が走った5月末から6月の時点で、都内の開業医が適切な診察を行い、行政に届出を行っていれば、埼玉や大阪に感染が拡大することはなかったと推察されるのだ。

 過去の感染歴でも「偽陽性」が出る新型コロナの治療薬は5万円以上で、子供の肺炎を防ぐための抗生物質はわずか160円。ところが日本の開業医は執拗に「新型コロナ検査」をしては、持病がある高齢者に数万円もする新型コロナ治療薬を乱発する。一方で、子供の診察はないがしろにしている感がある。

 日本以外の国ではもはや忘れられている新型コロナに日本の医者がこだわり続けるのは、「新型コロナ助成金」の存在があるからだ。

 新型コロナが「5類」になってバラマキは終わったのでは…と思う人がほとんどだろう。いや、実は今も医療機関への「コロナ助成金」バラマキは続いているのだ。

 東京都では「感染管理の専門資格を有する医療人材の育成と確保を促進」目的で、薬剤師や技師、看護師など病院職員の研修資金名目で今年度いっぱい、最大600万円(1施設あたり。今年度単年では300万円が上限)の補助金が病院に支払われる。老人介護施設の対象期間は今年3月分までだが、今年7月までは「コロナ助成金」がバラ撒かれていた。

 病院も施設も、国にマイコプラズマの患者数を報告してもカネにはならないが、新型コロナは手当たり次第に検査しまくって陽性患者を報告すればするほど、カネを生む。ひとたび「コロナ利権」の甘い汁を吸った日本の医者には、目の前で微熱や咳に苦しむ子供の姿など、刺さりもしないのだろう。

 そんな調子で5月から東京、埼玉、大阪でじわじわと感染者を増やしていった、マイコプラズマ肺炎。医療機関から感染報告が上がってこないため、国の注意喚起は遅きに失し、このお盆休みシーズンに帰省先、観光地へと持ち込まれたことだろう。潜伏期間は2週間から3週間あり、保育園や学童保育、夏休み明けの新学期の幼稚園、小中学校での感染拡大が懸念される。

 長引く咳にはマイコプラズマ肺炎だけでなく、結核やガンなど重篤な病気が隠れていることもある。もし子供の咳や微熱が3週間以上続くようなら、子供をぞんざいに扱う高齢者御用達の「内科」でなく、「小児科」を専門とする医師、医療機関を受診してほしい。

(那須優子/医療ジャーナリスト)

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