混セもいよいよ終盤にさしかかり、阪神に翳りが見える中、4年ぶりのリーグ優勝へと進む巨人に問題が発生している。
キーマンとなるのは不動の4番・岡本和真だが、ここまで18本塁打、59打点と二冠の活躍。その反面、好不調の波が大きい。問題は、その起用方法である。なにしろ野球解説者の間で、意見が真っ二つに割れているのだ。
松田宣浩氏は岡本の守備について「サード、ファースト、レフトと3つのポジションを守れる。岡本選手がしっかり守れるからこそ、いろんな選手にチャンスがある」と、岡本の守備力を高く評価している。
逆に守備位置が固定されないことで、打撃に悪影響を与えている、との指摘もある。
西武、阪神、オリックス、巨人などで指導者経験のある伊原春樹氏はスポーツ紙の論評で、こう主張している。
「巨人の4番が他の選手のためにポジションを変えるデメリットはあまりに大きい」
岡本には打撃に集中させるべき、と訴えているのだ。
確かに歴代の強打者やタイトル保持者は、ほぼ全員が守備位置を固定されており、複数のポジションにわたることはほとんどない。首位争いを繰り広げる広島は、遊撃を矢野雅哉、三塁を小園海斗に固定したことで守備力が安定し、共に打撃力が向上するというメリットが生まれている。
阿部慎之助監督はより攻撃的なオーダーとして左翼に岡本を起用した際、
「守備は目をつぶる、と言った。そのぶん、打ってくれた。違う景色もたまにはいいかな」
と、してやったりだったが、ここまで18本のアーチは、昨年のキャリアハイ41本に比べれば、4番としては物足りなさを感じるのも確かだ。
仮に岡本を一塁で固定する場合、必然的に捕手は大城卓三となるが、リード面で一気に不安が出てくる。菅野の復活を下支えする小林誠司の存在も無視できないだけに、阿部監督は岡本の起用法にはかなり頭を悩ませているのではないだろうか。
(ケン高田)