日本人最高年俸の座を取り戻せるか。巨人・菅野智之のセ・リーグ投手最多記録となる、通算3度目の最優秀選手(MVP)受賞が、ほぼ確定的だという。
菅野は先発登板した8月18日のDeNA戦(東京ドーム)では勝ち負けこそつかなかったが、6回を投げて4安打1失点と好投。試合終了時点で11勝2敗、防御率1.867、勝率8割4分6厘の成績を残し、セ・リーグ最多勝と最高勝率のタイトル争いの先頭を走っている。
昨シーズンは77回2/3を投げて4勝8敗、防御率3.36、勝率3割3分3厘という数字しか残せず、2年連続Bクラスの戦犯扱いされたとは思えない復活ぶりだ。このまま順調に成績を積み上げ、優勝争いに貢献すれば、投手タイトル総ナメする可能性も出てきた。スポーツ紙プロ野球担当デスクは次のように評価する。
「今年の投球内容なら、大崩れすることはないでしょう。チームが優勝することになれば3回目の沢村賞に加え、これも3度目となるMVP獲得が現実的になる。菅野は当然、狙っていると思います」
過去、セ・リーグでプレーする投手で、二度のMVPに輝いたのは、300勝投手の別所毅彦氏と元巨人監督の藤田元司氏の2人しかいない。3回目のMVP受賞となれば、セ・リーグ史上に名を残す快挙だ。
3度目の戴冠は年々、下がり続けてきた年俸をV字回復させる絶好の材料になる。在京テレビ局スタッフは、
「8億円あった年俸が3年連続で1億円以上ダウンし、今季は4億円といわれている。3年連続1億円以上のダウンは史上初。かつては球界の絶対エースといわれていただけに、屈辱を感じているのは間違いないですからね。MVPはオフの銭闘の材料になりますよ」
MVPの選出は全国の新聞、通信、放送各社に所属し、5年以上のプロ野球担当経験がある記者の投票によって決まる。とりわけ東京と関西の記者クラブに投票権を持つ記者が多く、現状なら菅野に有利に働く可能性が高い。
メジャー挑戦を断念して手に入れた当時の日本人最高年俸だったが、今季は推定で8位タイに地位に甘んじている。チーム内でも坂本勇人の6億円、岡本和真の4億2000万円に次ぐ3位。それら全てを再逆転するために、セ・リーグ投手初となる通算3度目のMVPを、是が非でも手に入れたいところだろう。
(阿部勝彦)