売り出し中の若手の「真相究明」が、優勝争いの行方に大きな影響を及ぼしそうである。
セ・リーグは広島、巨人、阪神の3チームがひしめき合う混戦状態が続くが、
「前カードの広島3連戦に負け越した巨人が息を吹き返したのは、高卒2年目の浅野翔吾のおかげ。やはり若手が打つと、チームは盛り上がっていきます」(スポーツ紙記者)
巨人逆転Vのカギを握っている、そう言っても過言ではないだろう。そんな浅野に対し、「ある疑惑」が囁かれている。肩の強さだ。
それは8月23日の中日戦の初回だった。二死満塁の場面で、右翼手・浅野の前に打球が転がる。バックホームされたボールは内野手の手前ですでにバウンドしており、なんとか捕手まで届いた感じだった。
高校時代の浅野は「強肩俊足の外野手」と紹介されている。「ボールを握り損ねたのか」と思われたが、攻守交代の際のキャッチボールでも、相手選手に2バウンド、3バウンドで返していた。
「先輩野手に向かって力感のないボールを投げるのは失礼だし、肩か肘を痛めているんじゃないのか」
そんな疑惑が中日3連戦の間、ずっと囁かれていた。もっとも、本当に痛めているのなら、バッティングにも影響するはず。浅野は3連戦でトータル11打数6安打と大活躍した。
「試合前のキャッチボールでも、ワンバウンド送球することがあります」(前出・スポーツ紙記者)
ライバル球団からすれば、バットで結果を出し続ける新星をどう抑えるかが、終盤戦のカギとなる。「スローイングに疑惑アリ」の真偽を確かめるため、ネット裏のスコアラーたちは浅野の打席だけでなく、守備面にも着目していた。
「神宮球場でのヤクルト戦は球場が広くないので見極めがしにくいですが、その次は8月30日からの甲子園球場での阪神戦。浅野の肩に関する真偽が分かるのは、その時でしょう」(セ・リーグ関係者)
故障しているのなら、相手チームは守備面で揺さぶってくるだろう。しかし、練習での2バウンド返球は、単に力を抜いていただけなら…。先輩相手に「手抜き」ができるとは、相当な大物なのだが。
(飯山満/スポーツライター)