スポーツ

山口健治の“江戸”鷹の目診断「FI前橋」

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◎稲村も小原の押し切り逆転ある

 実績のある選手がどんなレースをするか注目されるのが、FI戦でもある。

 GI静岡全日本選抜(2月12日~)の前日が決勝戦になるのが「FI前橋」(2月8日【日】~11日【水】)。FIでは珍しい4日制。1次予選を勝った5人は準決勝に出られる2日目優秀戦にノミネートされ、2次予選も6着までがセミファイナルの権利を得る。

 S2班がほとんどの1次予選の1着候補は、S1経験のある岡村潤篠原忍山田義彦に、中村雅仁桑原亮矢島一弥大竹歩野原雅也あたりか。高速バンクだけに若手機動型の台頭も十分ありうるが、主力はやはりS1勢だろう。

 断然の主役は、ホームバンクの稲村成浩。自粛欠場も影響して、静岡全日本選抜だけではなく、3月の京王閣ダービーにも出場できない。アマチュア時代から活躍し、親子2代のGIレーサー。地元ファンの期待は大きく、ここは本人も優勝しか頭にない。

 GI覇者といえば、ここで10年寛仁親王牌を勝った市田佳寿浩。度重なるケガに泣かされているが、まだ39歳。体が万全になりさえすれば大舞台に戻る力はある。「焦らずに戦え!」と激励したい。

 そして、落車負傷で2カ月半実戦を離れた猪俣康一は、復帰初戦だった和歌山記念の好走から判断して体調に不安はない。仕掛けにためらいはなく、同型には脅威になる。

 さて、並びと展開。関東は地元地区の小原唯志─稲村と、山田─岡光良の埼玉両者で別線か。南関は松谷秀幸白戸淳太郎栗原厚司。中部は猪俣─坂上忠克、福井の野原後位は徳島の室井健一だろう。北日本は有力な先行不在で、岡部芳幸はラインの切れ目からの戦い。他では岡村、篠原の勝ち上がりもある。

 33バンクだけに残り2周の赤板から動きは激しくなるが、最後は小原が主導権を取り切る。猪俣、野原、山田は早めのまくりで勝負をかける。

 ◎稲村=○小原。稲村の差しを上位に取るが、小原の押し切り逆転も。3番手評価は野原と山田。4、5番手の好位で回れば突き抜けがある。

 伏兵は、前述した篠原と大竹、そして長井妙樹(東京・96期)の3選手。大竹と長井は初のS級だが、2場所目の前走・FI松山で決勝戦に進出した大竹の勢いは軽視できない。

◆プロフィール 山口健治(やまぐち・けんじ) 1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。

◆アサヒ芸能2/3発売(2/12号)より

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