やはり規格外の強さだ。
大相撲秋場所は8日目の9月15日、十両の尊富士が朝紅龍を押し出しで下し8戦全勝で勝ち越しを決めたが、これが史上初の記録となった。
尊富士のストレート給金は新十両だった今年初場所、新入幕だった春場所に続き今年3度目だが、関取として年間3度のストレート給金は関脇以下では史上初の快挙なのだ。
そして16日に9連勝を達成し、尊富士の関取としての成績は37勝4敗(不戦敗を除く)で、土俵に上がれば勝率は9割超え。前回2度のストレート給金はいずれも優勝しているだけに、今場所は早くも青ランプか。13勝以上できれば西十両11枚目からジャンプアップで、九州場所での再入幕が現実味を帯びる。
一方、こちらの強さも並みではない。
幕内では関脇の大の里が8日目に御嶽海を押し出してストレート給金。9日目に若元春を押し倒して9連勝。単独トップを快走している。
「大関昇進の目安となる〝前3場所を三役で33勝以上〟まで残り3勝。大関琴桜と豊昇龍、関脇阿炎と霧島との対戦を残していますが、今の調子なら3勝は確実でしょう。九分九厘、九州場所での大関・大の里が誕生しそうです」(相撲ライター)
それにしても、ストレート給金2人の異次元の強さには目を見張る。やはり幕内優勝のスピード記録を作った実力は伊達ではない。
尊富士は新十両だった今年の初場所を13勝2敗で優勝すると、幕内に上がった春場所は同じく13勝2敗で110年ぶりの新入幕優勝という離れ業を成し遂げた。
だが、その場所のケガの影響で夏場所を全休。十両に陥落した名古屋場所は途中出場で2勝1不戦敗となり十両下位まで番付を下げていたが、やはりここでは力が違いすぎた。
大の里は尊富士の110年ぶりの快挙に続く今年の夏場所、幕下付け出しデビューから7場所目にして幕内優勝というスピード記録を達成している。
「大の里はもちろん、十両ですが尊富士にしても、これだけストレート給金を頻繁にできる力士はまさにその番付では敵なしということ。早く横綱になってもらって、上位力士に休場が少ない場所を見たい、という声が多いだけに、その期待を一刻も早く現実にしてほしいですね」(前出・相撲ライター)
ケガで番付を落としただけの尊富士が近い将来、大の里の前に立ちはだかるのは必至だ。並みいるベテランやライバルを強力クリーナーのごとく吸い取り、令和の相撲界を怪物2人で牛耳る〝ダイソン時代〟到来で間違いなさそうだが…。
(石見剣)