9月12日に告示された自民党総裁選は過去最多の9人が立候補したが、このうち7人が「親中派」だ。1972年の日中国交正常化の中心にいた田中角栄首相と大平正芳外相の派閥、旧田中派と旧大平派の流れを組む林芳正官房長官、上川陽子外相、加藤勝信元官房長官、河野太郎デジタル相、石破茂元幹事長、茂木敏充幹事長の6人と、菅義偉元首相が番頭格として操る小泉進次郎元環境相である。
日中間では様々な問題でトラブルが尽きないが、「現職首相の靖国参拝だけは避ける」との密約があり、政治問題が経済問題に拡大しない「ひとつのセーフティーネット」になっている。
ところが高市早苗経済安全保障相だけが、首相になった暁には「靖国参拝を行う」と公言している。これを阻止すべく、高市氏が決選投票に進めば、親中7人衆が「反高市」で動くのは必至だ。与党ベテラン秘書が言う。
「小泉、石破、高市、林の4候補のいずれかが、決選投票に残る公算だろう。小泉・高市、石破・高市、林・高市など、いずれの組み合わせでも、親中候補サイドは高市潰しに走る。そして小泉・石破などの組み合わせなら、自由投票というわけだ」
日中間で密約が交わされたのは、2013年に安倍晋三首相が靖国参拝を行ってから。それ以降、安倍氏、菅氏、岸田首相、いずれも在任時は靖国参拝を行っていない。中国ファクターが日本の権力闘争にも大きな影響を与えているのだ。
(健田ミナミ)