社会

新幹線「はやぶさ」「こまち」時速300キロで走行中に分離した「連結部分の仕組み」

 9月19日朝、東北新幹線で前代未聞の事故が起きた。盛岡駅で秋田新幹線と連結して30分後、時速300キロで古川~仙台間の宮城県大崎市を走行中に東北新幹線「はやぶさ」、秋田新幹線「こまち」の連結が外れ、緊急停止したのだ。連結されていた「こまち」は自動ブレーキが作動し、両新幹線の乗客に負傷者はいなかった。

 走行中に外れた連結箇所は、鉄道ヲタクや電車好きの子供がいる家庭では見たことがあるかもしれない。JR盛岡駅で東北新幹線と秋田新幹線が連結される光景は「マジンガーZ」世代から「ガンダムSEED」「新世紀エヴァンゲリオン」世代、「プラレール」で遊ぶチビッコまで3世代揃って「厨二病」をくすぐられるほど格好いい。

 だが耐久性となると話は別で、2つの新幹線は鉛筆のような形をした連結部の凸凹部分をはめ合わせ、外からは見えない小さな半円状のフックを引っ掛けて固定する。

 理論上は50トンの牽引に耐えられるというものの、見た目はおもちゃの「プラレール」の東北新幹線、秋田新幹線の繋ぎ目そっくり。JR貨物の太いフックを噛み合わせる屈強な連結部と比べて脆弱で「こんなんで最速320キロの1000トン(東北新幹線の総重量700トン、秋田新幹線の総重量300トン)が耐えられるのか」と考え始めると、春日三球師匠のように夜も眠れなくなってしまう。

 今回の事故はテロや人為的ミスの可能性は低く、偶発的な電気系統のアクシデントだと思われる。というのも、鉛筆状の連結部の内部の小さなフックが完全に噛み合っているかどうかは、2つの新幹線を連結するJR盛岡駅の駅員が目視できず、運転手が電気信号で確認するしかない。この電気系統に、整備不良以外の何かしらのアクシデントがあったと考えられるというのだ。

 災難だったのは乗客と、運休した新幹線に乗るはずだった人、そして停車駅の駅員で、新幹線の復旧を待っていた乗客によれば、

「いつものように、高齢客が駅員に怒鳴り散らす光景が見られた」

 フック部分を小型化、電気系統に依存しすぎた現行の連結システムには再考と改良の余地があるし、重大事故に繋がりかねなかった一方で、同システムの運用開始から32年間でたった一度しか起きてないアクシデントに「新幹線の安全神話ガー」と騒ぐ一部新聞報道を読むと、じゃあその間、航空事故は何回起きているのか、とツッコミを入れたくもなる。新幹線に100%の安全を求めることこそ、思考停止の証左。それならアクシデントがつきものの旅行など諦めて、家から一歩も出ない方がいい。

 本格的な事故調査はこれからになるが、三世代がワクワクする東北新幹線と秋田新架線、山形新幹線の連結シーン。JR各社には新幹線の運用にさらなる安全性の向上をお願いしたい。

(那須優子)

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