昨年まで5年連続Bクラスだった日本ハムをAクラスに導いたのは、新庄剛志監督の手腕によるところが大きい。監督就任から現在までに7件の交換トレードを実施し、チームに新しい血を入れて活性化。マルティネスやレイエスなど外国人の補強もズバッとハマッた。
最初の2年間を6位で終えたのは、若手選手の「育成」に力を注いだからで、その甲斐あって清宮幸太郎、万波中正、田宮裕涼らが見事に開花したのは、さすがとしか言いようがない。
新庄監督は昨シーズン終盤に1年契約を結び、今季で契約満了となるが、気になるのは来季の動向だろう。球団は当初、新庄監督に3年間チームを任せ、その後は稲葉篤紀2軍監督を昇格させる予定だったと言われている。しかしCSで逆転の日本シリーズ出場となれば、再延長は大いにありうるだろう。もっとも、新庄監督の性格を考えると、自らユニフォームを脱ぐ可能性もあり、ファンとしてはヤキモキするところだ。
そんな中、期待値込みとして浮上しているのが「西武監督説」だ。西武は今季、圧倒的な最下位に沈み、来季の体制が刷新される可能性が高まっている。現在、監督候補として名前が挙がっているのは、黄金期を牽引した左のエース・工藤公康氏、2017年から2022年までチームを率いた辻発彦氏、西口文也2軍監督らだ。ただ、どの人物も一長一短があり、本命は不在。思わぬ育成能力を発揮した新庄監督ならば、焼け野原となったチームを再建に導くことができる、というわけだ。
西武の監督はこれまで「生え抜き」が務めることがほとんどだったが、根本陸夫氏や広岡達朗氏など、例外がないわけではない。立地の悪さなどからなかなか客足が伸びないベルーナドームも、新庄効果が期待できるだろう。
新庄監督の野球脳の良さを「令和のノムさん」と評価する野球関係者は多い。迷走するチームの救世主として、新庄監督の名前が出るのも納得だ。
(ケン高田)