あれほど賑やかだった上野動物園パンダの森が、すっかり寂しくなってしまった。
昨年2月21日に上野で生まれたシャンシャン(メス)が、中国に返還。今年9月29日には、リーリー(オス/写真)とシンシン(メス)も返還された。最大で5頭いたジャイアントパンダは、シャオシャオ(オス)とレイレイ(メス)の2頭だけになってしまった。
シャンシャンとシャオシャオ、レイレイは、リーリーとシンシンの子供で、一時は上野動物園に待望のパンダファミリーが誕生したが、返還によって「解体措置」となったのである。
あまりに寂しい状況に、パンダファンはこう言ってため息をもらす。
「上野動物園のパンタ舎は正門を入ってすぐのところにありましたが、数が増えたことで西園に新たに『パンダの森』を作り、両方でパンダを見ることができました。ところが今は東園が閉鎖され、4頭がいて手狭だった西園もシャオシャオとレイレイだけになった。閉鎖され立入禁止になった東園を見るたびに、シャンシャンを思い出して涙が出そうになります」
パンダを見るために上野動物園を訪れる人は減っているという。さらにリーリーとシンシンの返還は、パンダファンにとっては頭数が減ったという以上の大きな痛手になっている。その理由を先のパンダファンは、
「リーリーとシンシンが返還されたということは、上野動物園で赤ちゃんパンダが誕生することがない、ということです。今、上野にいるシャオシャオとレイレイは双子ですから、子供を作ることはありません。上野で赤ちゃんが誕生するには、双子の結婚相手を中国から借りるか、あるいはリーリーとシンシンのようなペアを借りるしかないのですが、どちらにしてもハードルは高い。赤ちゃんパンダの誕生と成長を2度も知ったファンに、この状況はツライですね」
なんとか新たなパンダを借りて、赤ちゃん誕生を実現してほしい。
(鈴木誠)