これはまさに「長期ロード」だ。
10月1日の東京武道館(東京都足立区)からスタートした大相撲の秋巡業は、10月27日の水島緑地福田公園体育館(岡山県倉敷市)まで計25カ所を転戦中。初日の東京武道館は約5年ぶりの開催で、4000人のファンが集まる盛況ぶりだった。とりわけ大関として参加する大の里の人気はすさまじく、
「本場所よりもさらに距離感が近いだけに、サインや写真撮影を求めるファンがひっきりなしでした。完全に横綱・照ノ富士から主役の座を奪っています」(相撲記者)
まさに新大関の顔見世を兼ねた興行の様相を呈しているのだ。ファンにとっては力士と触れ合える「神イベント」なのは間違いない。とはいえ、さる幕下以下の若手力士からは「もう、やってらんないっすよ!」と不平不満が止まらないのである。
「朝から夕方まで拘束されて、日当はわずか2500円ですよ。10月から東京都の最低賃金が1時間あたり1163円に改定されたと聞きましたが、それをはるかに下回る金額です。まぁ、関取でも8000円ぐらいと聞くので、あまり文句は言えませんが…」
配給される昼食にも「物言い」が付いた。
「おかずが茶色の揚げ物ばかりなのは勘弁してほしい。空腹でもだんだんと胃が受けつけなくなるんです。月に100万円以上もらっている関取衆は出店や宿舎の近くでその土地の名物を食べていますが、僕らの日当ではスナック菓子で気を紛らわすのが関の山。このままでは偏った食事のせいで、痩せてしまいそうです」(前出・若手力士)
2022年秋は6カ所、2023年秋は22カ所と、コロナ明けから増加傾向の秋巡業。帯同する幕下以下の力士は、我慢とストレスを糧に出世するしかないのだ。