楽天の三木谷浩史オーナーが、今江敏晃監督の続投に「NO」を突きつけた。今江監督は2023年10月に1軍打撃コーチから指揮官に昇格。2年契約の1年目となる今季は、交流戦で初優勝に導いた。シーズン終盤までロッテと3位争いを繰り広げたが、あと一歩及ばず、3年連続の4位に終わっている。
あと1年契約が残っていることもあり、当初は続投するとみられていたが、森井誠之球団社長は「これからしっかり話し合って、ということになる」と言葉を濁した。どうやら球団幹部が上申した続投案に、三木谷オーナーが首を縦に振らなかったというのだ。
一般的に新監督が誕生した場合は、2~3年ほどは任せるものだが、楽天は球団創設20年で、わずか1年でクビが飛んだケースが、今回を含めて6例もある。そのうちのひとり、2015年に指揮を執り、6位に終わってクビを切られた大久保博元氏は、今江監督解任報道に大激怒だ。
10月10日に更新した自身のYouTubeチャンネルで「俺はもう納得いかないね」と切り出すと、
「報道が事実だとしたら、球団は反省して下さい。いい人材がいなくなる」
2005年の初代監督、田尾安志氏は、自身も含むブラウン、大久保、平石洋介、三木肇ら1年でクビになった監督の名前を挙げて、
「非常に寂しい。自分のクビは心の中で収めていたが、同じようなことを何度も繰り返されると、若さだけじゃなかったな。今、59歳になったのに、やってることは変わらない」
そう言って、三木谷オーナーの変わらぬ姿勢に苦言を呈したのである。その上で痛烈に批判。
「野球人を理解しているのかな。もう親会社、変わってくれないかな」
田尾氏はシーズン終了後、続投決定の電話報告を受けたわずか30分後に三木谷氏からクビを宣告された経緯があり、強く思うところがあったようだ。
三木谷オーナーへの批判は、多くの球界関係者の間で広がっている。里崎智也氏は、
「監督やるなら3年は必要。楽天はそういう会社で、予想はできた。俺だったら絶対にやらない」
冷めた口調でそう言い放った。宮本慎也氏もアキレ返りながら、
「なかなかの球団やね。平石なんか3位になったのにBクラスと一緒と言われた。20年で6人も(1年で)クビは多すぎる。監督という存在が軽くなる」
気に入らなければ簡単にポイ捨て。現場を理解しない三木谷オーナーのドライなスタンスに、多くの野球人は怒りを隠せないのである。
(ケン高田)