男子プロテニス協会(ATP)は10月14日、男子テニスの世界ランクを更新した。13日まで開催されたマスターズ上海大会(ATP1000)でベスト64入りした錦織圭が前回から順位を10上げて、143位にじわりと浮上した。
錦織は2022年1月に受けた股関節の手術や、たび重なる足首の負傷によりツアーを長期離脱するも、昨年6月のチャレンジャー大会で復帰即優勝。今年8月の4大大会(グランドスラム)全米オープンには出場しなかったものの、その裏で開催されたチャレンジャー大会では2週連続でベスト8入りし、ツアー復帰後、徐々に試合勘を取り戻していく。
そして9月の「木下グループ ジャパンオープンテニス チャンピオンシップス2024」(ATP500)でベスト8入りする活躍を見せ、ランキングを153位までジャンプアップさせていた。
ジャパンオープンではホルガー・ルネ(デンマーク)、上海大会ではステファノス・チチパス(ギリシャ)にそれぞれ激闘の末に敗れたものの、世界トップ20の選手と互角以上に渡り合えることを証明した。2015年に世界4位にまで上り詰めたが、「第2の黄金期」を予感させる復調ぶりだ。
日本選手の世界ランキングを見渡すと、トップ100に入っているのは66位の西岡良仁と89位のダニエル太郎だけで、トップ200でも錦織の他には3人がランクインしているのみ。
テニスファンのみならず、多くの人が気になっているのが、「プロテニス選手は何位までに入れば、賞金だけで食べていけるのか」ではないだろうか。
ちなみに、アメリカの経済誌「Forbes」が発表した「2023年の世界テニス選手年収ランキングTOP10」によると、1位はノバク・ジョコビッチ(セルビア)の約57億6948万円で、この年の4大大会で優勝3回、準優勝1回の輝かしい成績を収めた。その賞金収入は約20億円となっている。つまり約37億円は広告料などコート外の収入であり、そちらの方が圧倒的に多いことになる。
2018年にテニス選手の年収ランキングで世界3位となった錦織の賞金収入は、約1億7760万円だった。対して広告収入は約36億6300万円となっており、賞金を上回るほどの広告収入を得られるようになれば、ウハウハな生活を送ることができる。テニス関係者が事情を明かす。
「プロテニス選手の収入は主に大会賞金と広告収入の合算となりますが、大会の賞金だけで生活できるようになるには、グランドスラムで予選を経ずに本選出場ができる世界ランキング100位がひとつの目安と言われています。例えば、賞金総額がテニス史上最多(約110億2500万円)となった今年の全米オープンでは、優勝者は約1億1025万円もの大金を手にできますが、1回戦負けでも1470万円、2回戦に進出すれば2058万円を得られます。200位以内に入れば予選に出場できる可能性があり、予選1回戦出場の賞金は367万円。ダブルスなら1回戦出場でそれと同額ですが、2人で分け合うことになるので実入りはかなり違ってきますね」
毎週発表されるテニスの世界ランキングでは、錦織の上昇にウキウキしながら「トップ100以内」に注目してみてはどうか。