優勝候補の一角として参戦する全仏オープン開幕も間近。この1年のスペシャルな躍進ぶりで、日本中にテニスファンを急増させている錦織圭(25)。しかし、いまや錦織の活躍での一喜一憂は、ファンよりも企業のほうがすさまじいという。
全米オープン準優勝でブレイクした昨年末の段階で、すでにイチローや本田圭佑のピーク時を凌駕したという経済効果は300億円を超え、波及効果全体では約800億円とも言われているが、スポーツマーケティングに明るいジャーナリストは、今年に入ってさらに企業の期待が高まっていると話す。
「なぜなら、かねてからの錦織スポンサード企業の株価推移は軒並み右肩上がり。商品などの企業努力もあるでしょうが、どのトーナメントでも上位争いをしている錦織選手が後押ししているのは間違いない」
錦織がトーナメントを勝ち進むのと比例するように株価も上昇するということだが、数あるスポンサーの中でもとくに有名なのがユニクロ(ファーストリテイリング)ということは皆さんもご存知だろう。
「2011年に錦織と契約を交わしましたが、当時、他の企業が行列を作っていたアスリートといえば、ゴルフの石川遼でした。ところが石川には見向きもせず、錦織を先物買いしたのがユニクロ。その先見の明に、他の企業は完全に一目置いてますね」(前出・ジャーナリスト)
当時の石川遼の契約料が高額すぎて断念したという裏話もあるようだが、それでも清水の舞台から飛び降りた企業は数知れず。今となっては「ドブに金を捨てたと言われてもしかたない」(前出・ジャーナリスト)というだけに、石川をスパッとあきらめ、シード選手でもなかった錦織を選んだ眼力はさすがだ。世界1位のノバク・ジョコビッチとの契約も「錦織が契約している会社なら大丈夫」とジョコビッチがコメントしただけあって、2人の対戦はさながら「ユニクロ祭り」となる。ユニフォームもバカ売れし、社員のガッツポーズも止まらないのだという。