大谷翔平が出場するメジャーリーグのワールドシリーズが始まるのは、日本時間10月26日の午前9時過ぎだ。ドジャースVSヤンキースは43年ぶりの名門対決となるが、なんとも不穏な情報が入ってきた。ヤンキースはエンゼルス時代の大谷を翻弄してきた「伏兵」を戦線復帰させるというのだ。
ヤンキースのアーロン・ブーン監督はオンライン取材で、ワールドシリーズ第1戦はエースのゲリット・コールが先発登板すると明かした。と同時に、シーズン終盤に左肘を痛めて故障者リスト入りし、選手登録枠から外れていた変則左腕ネスター・コルテスの名前を挙げて、
「明日も投球する予定で(実戦形式の練習が)全て順調にいけば、選手登録する可能性はかなり高い」
なんと「大谷封じ」の切り札としての起用を匂わせたのである。コルテス自身も記者団の囲み取材で、
「今投げるとどうなるか、というリスクを話し合った。ワールドシリーズの優勝リングの代償に、翌シーズン出場できなくても構わない。正式発表ではないが、選手登録されるだろう」
家族や球団幹部と話し合った末、来季を棒に振ってでもワールドシリーズに出場する覚悟を明かすのだった。
任天堂「スーパーマリオブラザーズ」のマリオそっくりの風貌のコルテスは、キューバ生まれ。コルテスが生まれた直後、家族がビル・クリントン大統領時代の「移民多様性ビザ」に当選し、アメリカに移住したラッキーボーイである。
愛称は「Nasty Nestor(ナスティ・ネスター)」。意訳すれば「キモいネスター」「うざいネスター」という不名誉な愛称だが、その名の通り、打者はもちろん、視聴者の調子も狂わせる「ひょっこり投法」が大きな武器だ。
とにかく投球は変幻自在。ある時はクィック、ある時は足をブラブラさせて打者を焦らし、タイミングをずらす。観客や視聴者も思わず脱力だ。しかも投球はオーバースローとサイドスローの「二投流」で投げ込んでくる。
エンゼルス時代の大谷はコルテスにすっかり調子を狂わされ、通算対戦成績は12打数2安打の打率1割6分6厘、9本塁打、1打点。明らかに苦手としていた。
今季、故障するまでの成績は、31試合登板で9勝10敗、防御率3.77。肘の回復状況から、左打者へのワンポイントリリーフ起用が予想される。
大谷はまたもや、最大の刺客「ひょっこり投法男」に翻弄されるのか、それとも…。
(那須優子)