大谷翔平と山本由伸が所属する大リーグ・ドジャースが2年ぶりに進出したワールドシリーズ(WS)は、ドジャースがヤンキースに2連勝の滑り出し。2戦ともフジテレビが生中継し、平均世帯視聴率は午前8時半からの初戦が12.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)、午前9時からの第2戦が13.9%を記録した。
もともと地上波の大リーグ中継は、NHKと民放局が交互にWSと7月のオールスター戦の放映権を持っており、今年はWSの放送を民放が担当した。フジテレビはその好機に恵まれたということになる。
「視聴率低迷にあえぐフジテレビにとっては、これ以上ない追い風です。毎週、土日の早朝番組の世帯視聴率は2%台後半から3%台前半なので、驚くべき高視聴率でした」(放送担当記者)
放映権を持つフジテレビは生中継にとどまらず、両日ともにGP帯(ゴールデン・プライム帯、午後7~11時)にダイジェスト版を放送。10月26日は午後7から2時間で8.1%、27日は午後7時から1時間で5.6%を記録した。
一方で、これによるダメージをモロ受けてしまったのが、ソフトバンクとDeNAの日本シリーズだった。初戦を10月26日、第2戦を27日のGP帯に放送したのはTBSだ。
26日の世帯視聴率は午後6時33分から試合終了までが10.5%、27日は午後6時3分から9時半過ぎまでが6.9%。午後8時過ぎからは、同日に投開票が行われた衆院総選挙の選挙特番が「相乗り」し、混沌を極めた。前出の放送担当記者は、
「放送時間帯を比べても、日本シリーズはWSに惨敗を喫しています。日本シリーズの第3戦はフジテレビが中継しますが、第4戦から第7戦までは第5戦のテレビ朝日を除いて、またTBSが放送。大半の視聴者の関心は、その球団のファンしか興味がない日本シリーズより、大谷と山本が登場するWSに向いていることが証明されました」
フジテレビの港浩一社長は10月25日の定例会見で「個人的にはドジャースが4勝3敗で勝ってくれたら」と語っているが、高笑いが止まらないのではないか。
(高木光一)