大相撲秋場所では13勝2敗で十両優勝を飾り、幕内復帰(西前頭16枚目)を決めた尊富士。新大関として九州場所(11月10日初日)を迎える大の里に負けられないと、目下「てっぽう1000回」のノルマを自らに課し、こなしている。相撲部屋関係者が言う。
「大鵬さんが現役の頃、四股を1日に500回踏んでいたのは有名な話ですが、尊富士にも似た話がある。恩師の『つがる旭富士ジュニアクラブ』総監督から『スクワットを1000回やりなさい』と言われると、他の子が我慢できず途中で休んでも、尊富士だけは黙々とやっていました。てっぽう1000回も、それに繋がる話ですね」
場所前に相撲記者が取材に行っても、
「全然です。何も変わらない。15日間、相撲をとるだけです」
と素っ気なかった。
「優勝した春場所で右足首を負傷し、復帰を目指した稽古で左胸を負傷した。本人は『ケガばかりですから』と煙に巻くのですが、普段の稽古ではてっぽう1000回をきちんとやっている。スクワット1000回を毎日やっているかどうかははっきりしないものの、相当入念な準備をしていますね」
同世代の大の里が大関に昇進すると「刺激にはなります」と尊富士は言っている。
「早く三役に上がれ」
とは、兄弟子の横綱・照ノ富士の言葉である。九州場所も優勝か、それに準ずる成績ならば、いよいよ大の里とともに「大尊時代」の幕開けとなろう。
(蓮見茂)