プロ野球ドラフト会議では支配下選手のみならず育成指名もあり、ここから這い上がって主力にまで成長した選手は少なくない。
今年のドラフト会議でソフトバンクが育成6位指名したのは、徳島インディゴソックス(四国アイランドリーグplus)の川口冬弥投手だった。徳島の公式サイトには、川口の経歴が次のように書かれている。
生年月日:1999年10月26日
経歴:東海大菅生高(甲)-城西国際大-ハナマウイ
投/打:右/右
身長/体重:187cm/86kg
奈良県出身の25歳のプロフィールだが、ここで気が付くのは「ハナマウイ」という名称だ。これはいったい何かといえば、千葉県を本拠地とする社会人野球クラブチーム「ハナマウイ」。ここでプレーし、2024年シーズンは新天地の徳島インディゴソックスで活躍したという。187センチの長身から繰り出す150キロ台のストレートを武器に、救援では7セーブ、先発で3勝を挙げ、わずか1年でプロ入りの切符をつかみ取った。
耳慣れない「ハナマウイ」なるチーム名について、スポーツライターが解説する。
「介護事業を展開する株式会社ハナマウイが2019年に創部し、翌年には歴史ある都市対抗野球大会に出場を果たしています。野球部員の大半はデイサービスの施設職員として働きながら、練習や試合にいそしんでいる。川口投手はハナマウイ出身のプロ野球選手第1号ということになります」
この川口投手の経歴に着目したのが、自身の草野球チームで監督を務める伊集院光だった。TBSラジオ「JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力」で、その「因縁」が語られている。
伊集院のチームが所属する、芸人の草野球リーグで、バカスカとホームランを打つ「謎の元社会人選手」がいた。これがどうやら「ハナマウイ」に所属していたという。
しかし伊集院は、これを「ハナマルキ」と勘違い。ラジオ番組でハナマルキ野球部について語ったところ、これを人づてに聞いた味噌メーカーのハナマルキが宣伝のお礼にと、番組宛に大量の味噌商品を送ってくれたのだ。ちなみに、ハナマルキに硬式野球部はない。
10月28日深夜の放送回では、今回のドラフトで「ハナマルキ」と「ハナマウイ」の間違いに気付いた伊集院が、こう語っていた。
「ぶっちゃあさん(ブッチャーブラザーズ)のチームにいた、アホみたいに打つ元社会人の選手。ハナマルキって言ってたけど、ハナマルキじゃなかった事件あるじゃん。あいつ、ハナマウイの選手なんだよ」
ハナマルキから大量の味噌商品が贈呈されたことで、伊集院は「ハナマルキ疑獄」と自虐的に語った。川口投手は「ハナマウイ」の経歴を背負って、プロの世界で大いに活躍してほしい。