あのちゃんの評判が依然としていい。今期ドラマ「民王R」(テレビ朝日系)では毒舌秘書・冴島優佳という重要な役を演じているが、意外(!?)にもその演技力が高く評価され、さらにあの独特の鼻づまり声ではなく「普通に喋れる」ことに驚きの声が上がっている。
そもそも彼女にとって、演技の仕事は今回が初めてではないし、「民王R」の演技にしても、主人公・武藤泰山(遠藤憲一)と入れ替わったことで(そういう設定)、普段とは違う低い声で話したり、おっさんのような仕草や歩き方をするところがことさらクローズアップされているようだが、もともと「できる子」なのだ。
個人的には、あのちゃんがギターとボーカルのパンクバンド「I’s」(残念ながら、今年末での解散を発表した)のライブ映像を初めて見た時の方が「やっぱりタダモノじゃないぞ!」という衝撃が強かった。「永遠衝動」でのスクリームなんて、私が敬愛してやまない戸川純の「パンク蛹化の女」を想起させるブッ飛び具合とカッコ良さだった(「諦念プシガンガ」やら「玉姫様」をあのちゃんにカバーしてもらいたいものだ)。
そんなあのちゃんとベッキーが共演NGということを、どれだけの視聴者が知っているだろう。コトの発端は、過去にあのちゃんが「ベッキーさんのXをフォーローしたけど、ポストがつまらないからミュートした」という趣旨の発言をしたことが当人の耳に入り、ベッキーがあのちゃんとの「共演NG」を公言したことにある。実際は単なるネタなのだが、周囲が異様に騒ぎ立てる結果に。
そして先日の「くりぃむナンタラ」(テレビ朝日系)でのこと。有田哲平から「苦手な芸能人は誰ですか」と質問されて「ベッキー。最近のベッキー」と答えたあのちゃん。相変わらずセンスの良さを発揮してみせたのだった。
そんなこんながあって、11月4日深夜の「あのちゃんねる」(テレビ朝日系)のオープニング。共演NGの話題になり、ゲストのベッキーが「この子はテレ東でもテレ朝でも、いろんなところで私の悪口を言ってた」と、プロレスを仕掛けてきたが、そんな挑発には乗らず、「嫌いな芸能人(の名前を)聞かれたら、ボクって言っていいですよ」と返すあのちゃん。もはや横綱相撲の様相だ。
これにベッキーは「言っていいの!?」と乗ってはみたものの「でもさ、そっちが『ベッキー』って言うとウケるんだけど、こっちが『あのちゃん』って言うと、マジ炎上するから。もう、世の中の構図ってこうなってるの」と、早々に敗北宣言をしたのだった。
あのちゃんはもはや絶対的存在であり、たとえそれがネタであったとしても、やりあったところで自分だけが損することに、ベッキーは気付いたのだろう。
あのちゃんの強みは、最初から「毒」を持っていることを隠さない点だ。昨今、多くのCM契約を持ち、NHK朝ドラのヒロインを射止め、私生活でもイケメン俳優の恋人がいて、順風満帆と思われた橋本環奈が、先日の文春砲による「パワハラ疑惑」で大きく評判を落としている。仮にあのちゃんが「使えねえ」とマネージャーに言ったとしても、「ああ、言いそう。そこもあのちゃんっぽい」などと言われ、なんの問題にもならないだろう。
昨年のNHK紅白歌合戦でYOASOBIが「アイドル」を披露した際に、橋本とあのちゃんが一緒にポーズを取った場面が「天使と悪魔の最終決戦」などと言われたが、今やその立場はすっかり逆転。天国と地獄ほどに差がついてしまったような…。この無双状態、当面続きそうだ。
(堀江南)