またまた同じ過ちを繰り返すのか。早くも来季の阪神・佐藤輝明を心配する声が出始めているのだ。
高知・安芸で行われている秋季キャンプに参加している佐藤は、11月5日のランチ特打でアーチを連発。「打球速度常時170キロ」を目標に掲げたが、これに首をかしげる球団OBが続出している。あるOBは「何年、同じことをやっているのか」と話し、次のように疑問を投げかける。
「サトテルの場合、問題は打球速度や飛距離ではない。当たれば飛ぶし、もともと打球速度は速い。大事なのは野球に対する考え方でしょう。打席に入った際の狙い球の絞り方がまったく分かっていない。そのあたりをもう一度、考える必要がある」
さらに在阪スポーツ紙ベテラン記者は、別の問題点を指摘した。
「今季、サトテルの守備のまずさで、阪神は何試合も落としています。守備力強化が最大のテーマのはず。特打よりまず、特守でしょう。守備は鍛えれば鍛えるほど、うまくなる。今、守備練習をしなくていつするのか。どうせ来年の春季キャンプでは、守備より打撃中心で過ごすのでしょう。それでは今までと何も変わらない」
阪神の投手力は間違いなく、リーグトップ。今季、貧打に泣いた打撃力を強化すれば、V奪回に近づくのは間違いない。佐藤本人も昨季を下回る16本塁打、70打点に終わったことで打撃力強化をテーマに掲げたのだろうが、それも程度問題だ。前出のOBは、
「現状のサトテルの成績なら、パ・リーグのDHで6番ぐらいを打つのが関の山。守備、走力を含めて、ミスター・タイガースなどと呼ぶにはほど遠い。ランチ特打でアーチを連発したといって、調子に乗っている場合ではない」
今季、メジャーでは大谷翔平が190キロを超す打球速度を計測した。それだけに、佐藤が打球速度にこだわりたい気持ちは理解できる。だがそれより前に、やるべきことが山積しているはず。これまでの二の舞いにならないよう、今後の首脳陣のハンドリングが問われることになる。
(阿部勝彦)