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「石油王と30億円契約」井上尚弥を絶賛したマイク・タイソンの「心変わり」はなぜなのか

 石油大国サウジアラビア最大のエンターテインメントフェスティバル「リヤド・シーズン」とスポンサーシップ契約を正式に締結したのは、日本が誇る「モンスター」こと、ボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥だ。総額はなんと、約30億円といわれる破格のものだ。

 翻って海外選手に目を向ければ、11月15日にYouTuberのジェイク・ポールと戦うのが、ボクシング界のレジェンド、かつてのモンスターで現在58歳のマイク・タイソンである。この一戦については、VIP席の最高額がボクシング史上最高となる200万ドル(約3億円)と発表され、世界中で話題沸騰となっている。

 とにかくビッグマネーを動かしている新旧モンスターだが、2人の直接的な接点はないものの、タイソンは井上を真面目に評価している数少ないレジェンドだ。

 全階級を通じたランキングであるパウンド・フォー・パウンドの議論が白熱していた時期のYouTube動画では、軽量級のアジア人王者を軽視する風潮を制するように、井上の動画を見せながら「この日本人は凄いんだ」などと力説する姿があった。

 ところが、である。タイソンが先ごろ、メディアにコメントした「いま観戦するべきボクサー5人」の中に、井上の名前がなかったのだ。

 タイソンが挙げた5人はジャーボンテイ・デービス、テレンス・クロフォードら、人気のアメリカ人ボクサーばかり。母国のメディア向けにわかりやすい名前を挙げたのではないか、あるいは井上への注目度が落ちてしまったのでは、とも…。

 11月1日には、イギリスの専門誌「The Independent」が独自のパウンド・フォー・パウンドを発表し、井上を1位にランクさせた。井上のことを「カジュアルな(一般の)ファンは知らない」と言及し、「この日本人は知名度こそ劣るが、実力は誰にも劣らず負けない」というコメントが添えられていた。やはり日本人が思う以上に、欧米では知名度が低いのだろう。

 石油王とのスポンサーシップ契約で、今後の戦いの場が世界に広がるのか。はたまたアメリカに進出して中量級のフェザー級へと階級を上げるのか。

 日本が生んだ唯一無二のモンスターだけに、タイソンに「井上尚弥を見ろ」と言わせるぐらいの華やかな舞台へと上がってほしいのである。

(田村元希)

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