10月の衆院選で日本保守党から出馬し、比例代表近畿ブロックで当選した新人の島田洋一氏は、SNSでメディアに厳しい批判を展開してきたことで知られる。とりわけ追及の矛先を向けてきたのが、朝日新聞だ。島田氏は長らく、北朝鮮に拉致された日本人を救う会の副会長として活動してきたが、朝日新聞は拉致問題に冷淡だったからである。
その島田氏が珍しく、朝日新聞の記事を評価する投稿をした。それは日本保守党の代表で作家・百田尚樹氏の「(女性は)30(歳)超えたら子宮摘出」などと発言したことをめぐり、批判を浴びている問題だ。
島田氏は次のように書き込んだ。
〈私のところにもこの件で色々質問が来るが、百田氏本人が「様々に留保を付けたとは言え、適切を欠いた」とする謝罪メッセージを出しているので、そちらを見て頂きたい。 なおこの朝日の記事は、一部怨念系ユーチューバーよりはバランスが取れている〉
朝日新聞は、百田氏が「これはええ言うてるんちゃうで。小説家のSFと考えてください」と複数の前置きをした上で、「子宮摘出」について発言した経過を詳しく報じている。
百田氏は発言を撤回して謝罪したが、政治家の失言の多くはたとえ話などからくることを、国政政党の代表となった百田氏も知っておく必要がある。
百田氏、そして国会議員となった島田氏には、伊吹文明元衆院議長がかつて自民党二階派の会合で訓示した、失言を避けるために留意すべき6つの「た」を胸に刻んではどうか。
それは、①立場をわきまえること、②正しいと思っていることを話すとき、③多人数の場で話すとき、④旅先で話すとき、⑤他人の批判をするとき、⑥たとえ話をするとき。頭文字が「た」となる6つの事項に「ちょっとひと呼吸入れて考えれば、そうおかしなことは起こらない」と伊吹氏は注意喚起している。
(奈良原徹/政治ジャーナリスト)