NHK連続テレビ小説「おむすび」は11月18日からの第8週「さよなら糸島 ただいま神戸」で、神戸編へと突入した。
主人公の米田結(橋本環奈)がいよいよ栄養士を目指すという本題に入るわけだが、期待よりも不安が視聴者から聞こえてくるのはなぜなのか。
11月18日の第36回では、結と両親が糸島から神戸へと引っ越すシーンが描かれたが、駅に見送りに来たのは祖母の佳代(宮崎美子)と、結の幼馴染みの古賀陽太(菅生新樹)、そして父・聖人(北村有起哉)の幼馴染みでいちご農家の井手康平(須田邦裕)の3人だけ。ドラマウォッチャーは不満げだ。
「一家の移住に反対していた祖父・永吉(松平健)が拗ねて見送りに来ないのはわかるのですが、ハギャレンの連中や、結を書道部に誘った同級生の宮﨑恵美(中村守里)がいないのは不自然では。ハギャレンはもっと仲間意識を大切にするものだと思ってたのですが…」
雑な描写は神戸でも続く。震災から復興した神戸の商店街ではキッチンカーが登場する賑わいだが、その車体には店のインスタグラムのアドレスが。ドラマウォッチャーが続ける。
「写真・動画共有SNSのインスタグラムは2010年に登場したもので、結たちが神戸に戻ってきたの2007年3月にはまだ存在していません。そもそも床屋の開店資金や結の専門学校の学費は、どこから捻出したのか。農家はそんなに儲かっていたのでしょうか。細かい部分の雑な描写が気になってしまいます」
11月19日の第37回の冒頭では、理容店の名前が「ヘアサロン ヨネダ」になったことが明かさたが、前出のドラマウォッチャーは、
「聖人は理容店に女性客を取り込むべく意気込みますが、そもそも12年も理容業から離れていた人に客がつくのかどうか。そして結は12年ぶりに再会した幼馴染みの佐久間菜摘(田畑志真)に対し、彼氏がいることを打ち明けますが、プロ野球選手を目指す四ツ木翔也を支えるために栄養士になりたいと、浮わついた考えを口にする結を、視聴者は素直に応援できるのかどうか。細かい設定から人物造形まで全てが雑で、いきあたりばったりな印象は糸島編と変わらず。神戸編が始まれば面白くなるかもと、ここまで我慢してきた視聴者が一気に離れないか、心配になりますね」
そんな結は、チャラチャラした服装とネイルで専門学校に初登校。同級生をドン引きさせた。浮かれモードの結に、同じクラスの生徒・矢吹沙智(山本舞香)のひと言が炸裂する。
「あんた、なめとん?」
この言葉こそ、視聴者が脚本家とスタッフに言いたかったものだと、SNSで指摘される始末。一方では、山本の演技がドラマを引き締めてくれるのでは…と期待する声がある。
橋本と山本は、ドラマ「今日から俺は!!」(日本テレビ系)の映画版で共演した間柄。2人のスケバンの場外バトルが朝ドラに舞台を変えて展開されるのなら、もう少し視聴を続けてみようかと…。
(石見剣)