では対面が実現すれば、どうすべきなのか。これについては、すでに引退した関東独立組織の元最高幹部が答えてくれた。
「ヤクザのトップ同士の会談というものは、基本的には和やかに、そして短時間で終わるものだよ。どちらも忙しいからね。だけど、片方が大組織でもう一方が小さい組だったとしても、小組織が極端にへりくだったりすることはない」
それは互いが一国一城の主である、という前提があるからだという。
「ケンカも辞さない、という堂々とした態度の方が、この世界では尊敬されるんだな。土下座外交みたいなことをしたら、その大組織だけじゃなくて他の組からもナメられるから」(元最高幹部)
日米関係においても、相手はまず高いボールから投げ込んでくる。最初に下手に出れば、それに乗じてどんどん上から要求を通してくるのがアメリカの流儀だ。かといって、強気に出て、「自衛隊の米駐屯」のような腹案を切り出せば、逆襲にあってとんでもない要求を突きつけられることになる。
「それってシマ(縄張り)に事務所を作らせろ、みたいな話でしょ? そんなの交渉でも何でもなく、ただ相手にケンカ売ってるだけだろう。話していいことと悪いことの区別すらつかないなら、そいつは組長の器じゃないぜ」(元最高幹部)
決して一線を越えないよう、肝に銘じてほしい。
良好な関係を築くため、前回の大統領在任期間に安倍元総理が注力したのは「ゴルフ外交」だった。当選早々に特注のゴルフクラブを贈り、訪米時にはトランプ次期大統領所有のゴルフコースをハシゴまでして、マンツーマンでラウンドしている。
実は報道によれば、石破総理も高校時代はゴルフ部に在籍していたという。実力のほどは不明だが、マンガを愛する「オタク総理」よりは「ゴルフ好き」の方が米側のイメージもいいに決まっている。
「国会に出て居眠りしてるくらいなら、打ちっぱなしにでも行ってゴルフの練習してる方がいいな(笑)。それで上手になって、ギリギリで負けてやる方が交渉もうまくいくよ。正攻法でダメなら調査と搦め手が大事なんだよ。俺たちだってヒットマンを送る時には相手のリサーチと‥‥」(元最高幹部)
話があらぬ方向に飛ぶ前に最後の質問をしよう。贈り物で機嫌を取るには何を贈ればいいのだろうか?
「だからリサーチだよ。ゴルフ好きだって、同じようなゴルフクラブを贈るのは能がないよな。肉でも酒でも女でも、喜ぶものを贈るしかない」
ところで、ヤクザ特有のプレゼントというのはあるのだろうか。
「誕生日は胡蝶蘭だな。業界では友好組織の組長の誕生日には、必ず贈り合っている。あの均斉の取れた見た目と、高額な花だとみんなが知っているところが、こちらの誠意を汲んでもらうのに、ちょうどいい誕生日プレゼントなんだよ」(元最高幹部)
調べたところ米国でも胡蝶蘭は人気のある花らしい。だが、日本のように針金で固定して形を整えられた贈答品ではなく、単に鉢植えなどが贈られることが多いという。意外と日本流の心遣いをアピールできる品かもしれない。
この提言、石破総理の耳に届くだろうか。