アメリカ大統領選でトランプ前大統領が勝利したことで、「シンゾー、ドナルド」の関係を構築していた安倍晋三元総理が暗殺されたことを嘆く日本政府関係者は多い。
石破茂総理はそうした声を意識してか、周辺に「安倍さんとは違ったやり方で、トランプと渡り合う」と豪語しているという。
とはいえ、何か秘策があるわけでなく、11月7日午前にトランプ氏とわずか5分間の電話会談後、「接点を早急に持つべく努力したい」と述べただけだった。
安倍元総理が2016年11月10日にトランプ氏と最初に電話会談した時は、その場で1週間後の11月17日にニューヨークで会談することが決まったが、石破総理の場合、そうした話にはならなかった。
すでに石破総理よりも早く、イスラエルのネタニヤフ首相やフランスのマクロン大統領らは、トランプ氏と電話会談を行っていた。11月6日夜、BSフジの「プライムニュース」に出演した岸田文雄前総理は、すぐに電話をかけるべきだったかと聞かれて、
「電話をかけなかったことが日本外交の落ち度だとは思わない」
としながらも、
「できるだけ早く接触することは大事。(会談して嫌われる可能性もあり)それがリスクでもあるというのもその通りだ。それを上手くやらなければいけない」
元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏は自身のSNSで「安倍氏に習え 石破首相、11月後半の訪米検討」と題された記事を引用して、次のように嘆いてみせた。
〈安倍さんは大リスクを取ったんだよ。あのときは西側諸国首脳がトランプさんを大批判していた。そんな中で安倍さんは一番乗りした。今は誰もが一番乗りしたい状況。簡単には会えないわ〉
早期の首脳会談実現に懐疑的な見方を示したわけだが、もっともな指摘だろう。
(喜多長夫/政治ジャーナリスト)