次期アメリカ大統領がトランプに決まり、日米関係はどうなるのか。全国紙政治部デスクが解説する。
「自民党幹部は『もしトラ』に備えて、今夏から安倍政権時代のトランプ外交を研究。安倍晋三元総理の通訳を務めた際にトランプに気に入られた外務省のスーパー官僚、高尾直氏を在中国日本大使館から、在米国日本大使館に異動させました。さらに菅義偉元総理から石破茂総理に『これだけは言ってはいけない』『これだけはやってはいけない』NGリストも引き継いだ。中でも石破総理が『念押し』されたのが『トランプの前で理屈をこねるな、長話をするな』だったそうです」
アメリカ国内ではホワイトハウスの混乱や、トランプの人物像をルポルタージュした「トランプ本」が数多く出版されているが、実業家として成功したトランプがブチギレた側近には「共通点」があるという。
●言い訳をする
●(トランプが求めた)結果が伴わない
●理屈っぽい
●接待ゴルフや接待パーティーが苦手
●陰キャ
…失礼ながら、石破総理のキャラと丸カブリなのである。前出の政治部デスクが言う。
「実業家であるトランプにとっては、ビジネスも政治も結果が全て。トランプの質問に理屈で返す側近は、怒りを買ってクビになったと聞きます。議論や提案を持ちかけられるのは大嫌い。エリート風を吹かせる人物も嫌い。その一方で『接待ゴルフ慣れ』している安倍氏とは、すぐに打ち解けた」
石破総理は議員仲間が集まる会員制クラブや料亭での宴席を拒み続け、慶應義塾高校でゴルフ部に所属していながら、政治家になってからは「接待ゴルフ」を封印してきた。
接待ゴルフでおべんちゃらを使うしか能のない中高年は、Z世代に白い目で見られるご時世、「ゴルフや宴席に興じる時間があるなら、多くの本を読みたい」という石破総理の生活態度は悪くはないのだが、トランプ外交ではそれらが全て裏目に出てしまう。
「衆院選の惨敗にしても、石破さんの所信表明演説は『総理になって何をしたいのか』『なぜこのタイミングで衆院解散に踏み切ったのか』について、何が言いたいのかがわからなかった。トランプの当選確実が出た際も、石破さんは『(日米同盟を)より高い次元、より高い段階に引き上げていく』と実に抽象的なコメントを出しました。トランプは石破さんの要領をえない長話を嫌い、一方的に関税問題や農産物ゴリ押しの主張をまくしたてるかもしれません」(与党関係者)
もう悪い予感しかしないのだ。11月下旬、ブラジルで開かれるG20サミット後に訪米するとみられる石破総理。いっそ高尾氏と、陽キャラで知られるファーストレディーの佳子夫人だけで、トランプと対話してはどうか。
(那須優子)