プロ野球ストーブリーグの「攻防」といえば、選手と球団の「年俸をめぐる駆け引きと交渉」だろう。しかしアッサリと白旗を上げたのは、中日の大野雄大だった。減額制限を大幅に超える1億8000万円減の推定年俸1億2000万円で契約更改したのだ。
202年オフにFA宣言せず、3年の複数年契約、年俸3億円+出来高で合意。今年まで1年延長されていたが、全く結果を残せていない。
「この2年、何もできていないが、契約をしてもらえた。結果で返したい」
大野もそう語って再起を目指すことになった。
来年には37歳のシーズンを迎える中で、絶対的守護神のライデル・マルティネス、そして貴重な先発左腕の小笠原慎之介が、相次いでチームを抜ける可能性が高い。ベテランへの負担は増すばかりだが、
「成績も大事ながら、将来は指導者になる可能性が高い大野は、後輩をエースに育てることが必須となる」(球団関係者)
井上一樹監督は今秋のドラフト会議で他球団と競合しながら、金丸夢斗投手(関西大)を1位指名で獲得できた。
「大野とは同じ左腕で、先発タイプ。今年のドラフトではトップの投手です。同じ関西人の左投手で、現役の間に伝えられることはいくらでもある。小笠原がそこそこ育ったのも、彼の功績が大きいですし」(前出・球団関係者)
強力な「新ライバル」出現に大野は、
「チームとしては嬉しいが、活躍すればポジションを奪われる。競争でチームが底上げにつながれば」
と本音を漏らした。4年連続セ・リーグ最下位も、不名誉記録をストップさせるキーマンが大野であることは間違いない。